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小池良次 米国発、ITトレンド 第81回 ドローンは現代のインターネットとなるか 岐路に立つ米商業無人機管制システム

テクノロジー 小池 良次 2016年09月16日

 2016年8月29日、米国で商業ドローンの新ルールが発効した。これまで実験免許で対応してきた商業ドローン・ビジネスは、操縦者にパイロット免許を求めるなど厳しい条件が課せられていた。しかし、新ルールでは、オンライン講座による運転免許発行など大幅な規制緩和を盛り込まれている。今回は、米国で加熱する商業ドローン・ビジネスの最前線を追ってみよう。

実験から実用へと歩み出すドローン利活用

 シリコンバレーでは、商業ドローンを既存航空産業の延長とは考えていない。どちらかと言えば「空のロボット・サービス」と見ている。ここに連邦政府と民間のギャップがある。そこに話を進める前に、活気を呈している米国企業のドローン活用を少し紹介しておこう。

ドローン向け小型PC「Aero Platform」を紹介するBrian Krzanichi氏(Intel CEO、IDF16で筆者撮影)

 たとえば、電力・ガス業界では高圧送電線やガス・パイプラインなどの検査に商業ドローンを活用することがブームになっている。ESP&G社など大手電力・ガス会社が先を争って研究開発を展開する中、Xcel Energy社は実験段階から正式な業務利用へと移った。同社はテキサス州で20マイル(約32km)の送電線検査をドローンの自動飛行で実施したほか、ノースダコタ州では電力設備の災害対応にドローン活用を計画している。

 電力・ガス業界のブームを受け、NASA Jet Propulsion Laboratory(Pasadena, CA)は、エネルギー用パイプライン検査を容易にするメタンガス検出装置付UAVの開発を進めている。これは火星探査プロジェクトのために開発された高感度センサーと同じ構造を採用し、ppb(10億分の1パーセント)レベルでメタンガスを検出することができる。実現すれば、パイプラインのガス漏れをいち早く検知できると期待されている。

 また、ニュースや番組撮影現場でもドローン空撮が活発化している。ニュース専門チャンネル大手のCNNはCNN Airという事業部を設立し、ドキュメンタリーやニュースに多用している。米4大TVネットワークのFox社は、16年5月に開催されたU.S.オープン・ゴルフでドローン撮影を多用した。これはFox Sports Labが手がけた実験放送で、ドローン空撮だけでなく、ステレオカメラを使ってVR(仮想現実)放送も行われた。

 一方、建設業界では、進捗状況などの管理に活用する例が増えている。たとえば、現在建設中のアップル新本社ビルでは、毎日ドローンを飛ばして建築状況を記録している。このほか農業分野や公安分野など多種多様な分野で商業ドローンの用途開発が活発化している。こうした状況を踏まえ、衝突防止や画像認識などの機能を追加するためQualcomm社やNVIDIA社、Intel社などがドローン向け小型PCの開発に力を入れている。

 調査会社BI Intelligence社によれば、米国のドローン市場(ハードおよびソフト)は2015年の80億ドルから2021年には1200億ドル(約12兆1500億円)に成長する。同社は、向こう5年でドローンの出荷台数が4倍に増加する一方、価格競争により機体価格も下落すると分析している。規制緩和により欧州と米国の市場では商業用ドローンの成長が著しく、2021年には出荷台数および売上ベースでホビー・ドローンを上回ると予想している。


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コラムニスト・プロフィール

小池 良次こいけ りょうじ

京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当する。 その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版、科学技術セミナーなど300 ...

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