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Technology to the Future 第5回 回転寿司屋はIoTの夢を見るか?

テクノロジー 森 旭彦 2015年10月16日

 「IoT」という言葉をよく目に耳にする。

 IoT、“Internet of Things”は「モノのインターネット化」と訳される言葉だ。モノをインターネットに繋ぐことで、お互いに情報を交換し、コントロールする仕組みだ。
 スマートウォッチが計測する体温を共有し、電車の車内エアコンを調整するといった未来もそう遠くないのかもしれない。スマートフォンでコントロールできる冷蔵庫、炊飯器、エアコン…もう自宅にそんな家電がいくつかある人も少なからず存在するだろう。

 そんな未来がより近くなったとき、ものづくりはどうなるのだろう?
 僕たちは人それぞれに、“便利”や“好き”という指標を持っている。ますます多くの「インターネットに繋がれたモノ」に囲まれる未来が訪れたとき、僕たちは本当にそれらを便利に感じ、好きになれるのか?

 そして、そもそもIoTとは、何なのか?
 そんな漠然とした疑問から、今回の取材は始まった。お話を聞きにいった相手は、「AR三兄弟」の川田十夢さんだ。

 川田さんはAR三兄弟という開発ユニットの“長男”。
 もちろん本当の長男ではない。“拡張”された兄弟の、長男だ。
 そしてAR三兄弟は、多くの人々に馴染みがなかった拡張現実「AR」の世界を、テレビや演劇、Webメディア、執筆活動などで可視化してきた。
 そんな川田さんはIoTの未来をどう見ているのだろう? さっそく取材のお願いをしたところ、こんな返事があった。

 「(IoTについて)過去にこんなネタを作りました」


※詳細は画像をクリック

 あ…IoTが泣いている…! 

 さらにそのメールには、
 「(この動画は)これからIoTが辿るべき進歩を考えると、わりと芯を食った話です」
 と書かれている。

 僕たちのIoTへの漠然とした疑問は、さらに拡張されてしまったのだった…。


株式会社トルク取締役長男 川田十夢さん
1976年熊本県生まれ。1999年メーカー系列会社に就職、面接時に書いた『未来の履歴書』の通り、同社Web周辺の全デザインとサーバ設計、全世界で機能する部品発注システム、ミシンとネットを繋ぐ特許技術発案など、ひと通り実現。2009年独立。2010年『AR三兄弟の企画書』出版。2013年「情熱大陸」出演。編集者佐渡島庸平さんと発明マネジメント会社トルク設立。2014年J-WAVEでレギュラー番組『THEHANGOUT』スタート。2015年、作・演出・開発をつとめた舞台『パターン』をフジテレビで番組化、NHK『課外授業ようこそ先輩』に出演するなど、公私ともに活躍の舞台を拡張している。Tシャツは『ドラえもん』のフォントで「ビームス」。

「右クリックs」が繋ぐARとIoT

 川田さんとの取材は原宿にある「トルク」で行われた。
『宇宙兄弟』の小山宙哉さんや、『重力ピエロ』の伊坂幸太郎さんなどが契約している、作家のエージェント会社「コルク」(代表取締役社長:佐渡島庸平さん)との合弁会社だ。また、川田十夢さんはコルクの“契約作家”としてもクレジットされている。

 まずARとIoTは今、どんなふうに川田さんの中で結びついているんだろう?
 その形のひとつが現在開発中のiPhoneアプリ「右クリックs(右クリックス)」だと言う。

  • 川田さん:

    右クリックsはいろんなことができるんですが、たとえば自分の好きなミュージシャンのCDにiPhoneのカメラをかざすことで、そのアルバムを視聴することができます。

※詳細は画像をクリック

  • 川田さん:

    また、場所を右クリックすると、その場所の、iPhone5の画面サイズ分の地価が可視化されます。

※詳細は画像をクリック

  • 川田さん:

    さらに空に向けてやると今の天気を検索することもできます。

※詳細は画像をクリック

 ARのシステムは大まかに言うと、情報のインプット機能と、情報を可視化するアウトプット機能、そしてそれらを繋ぐ通信機能によって成り立っている。
 たとえば「地価を右クリックs」では、場所にiPhoneをかざし、画面をタップした時点でGPS情報をもとに市町村を検索し(情報のインプット・通信機能)、離した時点で情報を受け渡しし、画面に地価を表示する(通信機能・情報のアウトプット)と言う。データベースはインターネット上にある国土交通省のデータを参照している。
 iPhoneの画面を見ている人にとっては、あたかも手元のマウスで現実世界を右クリックして現実を拡張し、地価という情報を得ているような感覚がある。

 このようにARのテクノロジーは、拡張された現実の中で、現実のモノを自由にインターネット化できるとともに、インターネット上のものを、拡張現実下に於ける現実にすることもできる。拡張現実下においてIoT化を行っている、と言えるのかもしれない。

 しかし…取材が終わった帰り道の夕焼けを見て気づいたのだが、今の天気は空を見上げれば分かるのかもしれない。



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コラムニスト・プロフィール

森 旭彦もり あきひこ

1982年京都生まれ。2009年よりフリーランスのライターとして活動。主にサイエンス、アート、ビジネスに関連したもの、その交差点にある世界を捉え表現することに興味があり、インタビュー、ライ ...

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