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実践!ゲーミフィケーション 第1回 ゲーム的な仕掛けで社員のモチベーションは上がるのか 

テクノロジー 井上 明人 2013年07月26日

 いま、さまざまな分野で「ゲーム」の威力が猛威を振るっている。
 それまで多くの科学者たちが10年間かけても解けなかった酵素の複雑な構造解析の問題をオンラインゲームとして多くのゲームプレイヤーに解かせてみたら、たったの数週間で、それまでの10年間の成果をはるかに上回る数々の発見がなされた。
 2008年のオバマ大統領の選挙支援SNSでは数多くのゲーム的な仕掛けが施され、オバマ大統領の初当選をサポートした100万人を超える支援者たちは、まるでゲームを楽しむようにオバマ大統領を後押しし当選へと導いた。
 このように、社会のさまざまな活動の中にゲームの要素を持ち込むことが、「ゲーミフィケーション」いう用語で呼ばれ、この数年で爆発的に普及した。そして今、広告、販売、CGM等々、このムーブメントはビジネスの中にも広まりつつある。
 第1回は、以下のビジネスシーンでの会話の中で「ゲーミフィケーションとは何か」について解明していく。

<背景>

 A社の人事部課長の木山はこれまで長く人事畑を歩んできた。今年から新たに就任した社長のヤマモトの大号令で、社員のレベルアップを図るべく、人事システムを改善するよう指示が下りプロジェクトを任された。人事システム刷新の斬新なアイデアを求めて、ゲーミフィケーションの世界では著名な有識者であるスミスを訪ねた。

【登場人物】

井島:若手社員。20才代後半。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)修士修了。いまひとつ、現在の企業文化になじめず困っている。ゲーミフィケーション活用については慎重派。

木山:課長。50才前後、人事部出身、若手社員の気持ちがどうもわからないでいる。ゲーミフィケーション活用には怪しげな推進派になる。

スミスたかし:母親が日本人のハーフ。普段は日本語で会話する。ゲーミフィケーションのスペシャリスト。

社員のモチベーション向上のためにゲーム的な要素を持ち込む


  • 木山:

    スミス先生、本日は、お忙しいところお時間を割いていただきありがとうございます。私は人事部に勤めておるのですが、何か、こう人事制度の中にもゲーム的な要素を持ち込めないかと考えております。
    ゲームのように仕事に取る組んでくれないかと常々思っているのですが、なかなか、こう…社員に「これをみんなでやろう!」と呼びかけても簡単にはついてきませんし、だからといって「今期は、こういうことを目標とします!」と宣言させるだけでモチベーションが上がるというものでもない。どうすれば、仕事をもっと活き活きとやってもらえるのだろうか…と思いまして。うちでも、たとえば、この井島など若いスタッフはそういったタイプのプロジェクトに対して相性がいいだろうと思っているのですが、具体的には、どう取り組めばいいのか、今ひとつ勘所がつかめません。
    それで、恥ずかしながらですね、先生のご著書もまだ十分に読んでおりませんが、大変恐縮ながら、ゲーミフィケーションっていうのはいったい何なのか、基本的なところから、ひとつお話を伺いたいと思いまして。


  • スミス:

    あー、わかりました。
    まず、ゲーミフィケーションという言葉の基本的な意味から説明しますね。ゲーミフィケーションとは、社会のいろいろな活動のなかにゲームの要素を取り入れて行きましょう、という程度のゆるやかな意味なんですね。
    たとえば、よく例に出されるのは、ラジオ体操に毎日子どもを来させるために、ラジオ体操の出欠カードを作って、来た子どもにはハンコを押していきますよね。あのハンコが溜まるのが面白くて、思わず皆勤賞を狙ってしまうというのも、広い意味でのゲーミフィケーションです。


  • 木山:

    実際にゲーミフィケーションのビジネスってどんなものがあるのでしょうか。


  • スミス:

    木山さん、クルマは何にのってらっしゃいますか?


  • 木山:

    あ、はい。最近、今流行のプリウスを買いまして。


  • スミス:

    いいですね。それでは、木山さんは、もう既にゲーミフィケーションの現場を目にされていらっしゃいますよ。どれだけ、エコ・モードで車を走らせたかといった情報を、今では車のほうからくれますよね。「今日は、XXkm/L走って、エコ運転スコアは、◯◯でした」といったように、プリウスのほうで情報をくれます。しかも、それをすぐにSNS上で公開して、「今日はこんなに歩きましたよー!」というようにことを公開できます。すると、すぐに誰かが「いいね!」ボタンを押してくれて反応が返ってくる仕組みになっているわけですね。


  • 木山:

    えっ、そうなんですか。プリウスとSNSとの連携とかは、恥ずかしながら、乗ってはいるのですが知らなかったです。SNS上で成果を共有して、モチベーションを高められるなんて、時代はいつの間にか変わってきているんですねえ。


  • スミス:

    ゲームのようにエコ運転スコアが上がれば、もっとエコ・モードで運転したくなりますよね?サービスとライフログみたいなものが、いま直接つながりはじめたことによって、ゲーミフィケーションの応用範囲が非常に大きくなってきているわけですね。


  • 木山:

    なるほど。やっぱり、単にラジオ体操のハンコということではなくて、今あらためて言われたみたいな理由があるわけですか。

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  • Sさん

    大変面白かったです次楽しみです

    2013年08月14日 10:24

  • YowYowさん

    プリウスにそんな楽しい機能があるとは知りませんでした。ちなみに私が通勤用に使用している軽自動車は4年目ですが、一度も燃費記録を欠かしたことなくグラフ化などして遊んでいます。おかげで燃費向上のテクニックをいろいろと覚えました。記事のようにその結果をSNSで共有化したいところです。でもなかなか時間がなくて・・・。いずれにしてもこのゲーミフィケーションは、これからの社会のキーワードになりそうだと思っています。次回が待ちどおしい。

    2013年07月31日 13:39

  • えみっちさん

    初耳の「げーみふぃけーしょん」、ラジオ体操の出欠カードにつながっているとは面白いです。
    ウチの社も若い販売員はもちろん、古参パートさんも共通でモチベーションがあがる仕掛けを取り入れると売上も上がっていくのでしょうか・・・
    次回も楽しみです。

    2013年07月30日 10:29

コラムニスト・プロフィール

井上 明人いのうえ あきと

現在、国際大学GLOCOM客員研究員。2005年慶應義塾大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。2005年より同SFC研究所訪問研究員。2006年より国際大学GLOCOM研究員。2007 ...

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