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賢者に聞く「ビジネス教養塾」 第9回 強いチームをつくるためのリーダー論──平尾 誠二氏に聞く

スキル・キャリア WISDOM編集部 2009年03月30日

平尾 誠二(ひらお・せいじ)氏

1963年京都府生まれ。81年、伏見工業高校のラグビー部を率いて全国高校選手権大会で優勝を果たす。82年、当時史上最年少で日本代表のメンバーに選出。同志社大学時代には史上初の大学選手権3連覇を記録する。英国留学を経て、 86年に神戸製鋼に入社。89年以降、日本選手権大会で7年連続優勝。97年から2000年まで日本代表監督。現在は、NPO団体スポーツ・コミュニティ・アンド・インテリジェンス機構(SCIX)の理事長や日本サッカー協会の理事なども務める。

組織にとって最も大切なのは「カルチャー」

──まずは、スポーツとビジネスの共通点についてお考えをお聞かせください。



平尾:
共通点は「人」に尽きるでしょうね。スポーツもビジネスも、基本的にはチームでやるものでしょう。人と人とのつながりによって何かを成し遂げていくわけです。そのつながり方は様々でね、理屈だけでつながれるものでもないし、不可解なことも不愉快なこともたくさんあります。そういう不確かなものを克服した上で何かを達成する。それが、大きな喜びとなるわけです。スポーツにせよビジネスにせよ、統率する立場の人に何よりも求められるのは、「人を理解する」ということだと思いますね。

──『人は誰もがリーダーである』の中で、組織のタイプの違いを「野球型組織」と「フットボール型組織」という言葉で説明されています。

平尾:
どちらがいいということではなくて、組織の質の違いの話です。従来の日本型組織には野球型が多いんですよ。監督が指示を出し、プレーヤーはそれを忠実に守って実践する。現場での判断力がそれほど求められないかわりに、プレーの精度が非常に重要になる──それが野球型組織の特徴です。


これは、組織運営としては合理的なのですが、一方で、プレーヤーの経験が生かしにくいという弱点があります。例えば、長い経験を積んだバッターが「このピッチャーは絶対に真ん中高めに放ってくる」と思ったとします。それは、その人にしか分からない確信です。でも、監督からバントのサインが出たら、バッターはどれだけ「打てる」という確信があっても、バントをしなければならない。これが野球という競技を成立させるための根幹であって、この秩序を守らないとゲームは成立しません。


一方、ラグビーやサッカーなどのフットボール系の競技は違います。聴覚、視覚、勘、ある種の嗅覚。そういうものを頼りにプレーヤーが場面ごとに判断して動かなければなりません。各個人の状況判断の連続によってゲームが成立するわけです。


僕の考えでは、今後の会社組織や社会のあり方は、フットボール型にならざるを得ません。これだけ情報のスピードが速くなれば、「次どうしますか」みたいなお伺いをいちいちたててはいられないからです。一人ひとりのプレーヤーがチームに最大の利益をもたらすような判断をその都度して、それが連続して全体の動きとなっていく。それがこれからの組織のあり方ではないでしょうか。

──組織にとって最も大切なことは何だとお考えですか。

平尾:
「カルチャー」でしょうね。組織のカルチャーをつくるというのは、いわば時間をかけていい土をつくるようなものです。土づくりは時間がかかりますが、いい土壌さえできていれば、種は勝手に芽を出して、ぐんぐん育ってくれるんです。これは実に効率のいい、合理的なやり方ですよ。


土が良くないと、いい種を買い付けてきただけではうまく育ちません。高い肥料をやって、水をこまめにやって、毎日細かく面倒を見なければならない。つまり、人材育成費やケアの仕組みなどに大変お金がかかるということです。


ではいい土をつくるにはどうすればいいか。土をいろいろな環境にさらせばいいんです。激しい雨に打たれて泥田のようになって、太陽に照らされて乾いて、風に吹かれて余計なものが飛んでいって、そうやっていい土になりかけた頃にまた豪雨にさらされる──。こういう経験によって土壌は育まれていくんです。失望感、悲しみ、屈辱。そういったものを乗り越えて達成感や喜びを得て、そこで生まれた確信がまた叩きのめされる。スポーツもビジネスも、その繰り返しによってチームは強くなっていくのだと思います。



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