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偉人から学ぶ思考法 第9回 壊滅的な打撃を与えるのは、たちの悪い模倣者より、破壊的威力を秘めたテクノロジー ──コトラー『マーケティング・コンセプト』

マーケティング 西村 克己 2013年07月05日

 マイクロソフトが「Windows 95」の大成功によってコンピュータ業界の覇者となった頃、ある記者がビル・ゲイツに「あなたのライバルは?」と尋ねた。ビル・ゲイツから返ってきたのは次のような言葉だった。
 「ライバルはいない。怖いのはガレージで新しい何かをつくっている奴らだ」
 当時、コンピュータ業界にはマイクロソフトを脅かすほどの力を持った企業は存在しなかった。しかし、ビル・ゲイツの予言は数年後、現実のものとなった。1998年、ガレージからスタートしたグーグルは、やがてマイクロソフトの手強いライバルとなった。
 どんな企業にも競合他社は存在する。お互いに将来のトップシェアをめぐって激しく争う。武器は「改善」や「模倣」が中心となるが、しかし、それらはしょせん同じ土俵の上での戦いである。「漁夫の利」ではないが、A、B、Cが覇を競う中に、まったく業態や発想、ビジネスモデルの異なるZが参入して、破壊的イノベーションを武器にABC共に窮地に陥らせるという事態も充分考えておくべきだ。
 アメリカの巨大書店チェーン、バーンズ&ノーブルとボーダーズがまさにそうだった。両社は最大級の巨大書店の建設を競っていたが、そこに店舗を持たない、ガレージ育ちのAmazon.comが突然登場し、ほとんど無制限の品ぞろえによって一気に書店業界の勢力図を塗り替えてしまった。
 両社は業界ライバルや同業他社の動向には強い関心を払っていたが、インターネットが本の購入方法を根本から変えるという流れには関心を持たなかった。eコマースが普及してから慌てて参入したものの、先行するアマゾンを捉えることはできず、2011年、ボーダーズは経営破たんへと追い込まれた。
 コトラーは言う。
 「企業に壊滅的な打撃を与えるのは、たちの悪い模倣者よりも、破壊的威力を秘めたテクノロジーである可能性が高い」
 競合他社は目の前にいるライバルだけとは限らない。新しい技術革新の誕生によって、どんな大企業でさえ過去の遺物にされてしまうことがある。競合他社を特定することは簡単に見えて、実はとても難しいというのがコトラーの指摘である。

執筆:桑原 晃弥 監修:西村 克己
※本記事は書籍「1分間コトラー」(ソフトバンク クリエイティブ刊)を再構成したものです。


(2013年7月5日公開)

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  • かずさん

    常に革命をおこす立場を目指したい。

    2013年07月09日 08:52

  • hicoさん

    世の経営者が言うイノベーションというのが正にこのことを言うのであろうが、言うのは易し。どうやって破壊的テクノロジーと発想を育てるのか?

    2013年07月08日 14:03

コラムニスト・プロフィール

西村 克己にしむら かつみ

1982年東京工業大学 経営工学科 大学院修士課程修了。富士写真フイルム株式会社を経て、90年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業の経営コンサルティング、講演会、社員研修を多数 ...

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