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スペシャルインタビュー 第5回 井上明人氏インタビュー(前編) ~ゲームに備わる「チカラ」とは?ゲーミフィケーションの第一人者が語る今と未来~ 

2014年05月23日

 テクノロジーの世界には次々と新しい言葉が誕生する。ひと時の流行で忘れ去られるものもあれば、私たちの生活に根付き、社会を変えていくものもある。2011年に「ビッグデータ」や「インターネット・オブ・シングス」といった言葉とともに新しいIT潮流の流行語に選ばれた「ゲーミフィケーション」は、「ゲームの要素を社会のさまざまな活動の中に利用するもの」と定義され、わずか数年で大きな広がりを見せている。日本におけるゲーミフィケーションの第一人者・井上明人氏にその今と未来について話していただいた。


井上 明人

国際大学GLOCOM客員研究員

“ゲームのチカラ”を確信した東日本大震災でのエピソード

まず、そもそも「ゲーミフィケーション」とはいったい何なのかを教えていただけますか。

  • 井上:

    ゲーミフィケーションとは、「ゲームの要素をゲーム以外のものに使う」ということです。たとえば、社会のいろいろな活動の中に、ゲームの持つ「楽しさ」や「自発性」を取り入れていくことが挙げられます。よく例に出されるのは、夏休みのラジオ体操の出欠カードです。早起きは嫌なものですが、カードにハンコが溜まるのが楽しくて、そのうちに競って皆勤賞を狙うようになることがあります。これも広い意味でのゲーミフィケーションです。

最近ではゲーミフィケーションをビジネスに活用することで成功する企業も増えているようですが、こうした流れはどこから生まれてきたのでしょうか。いわゆる普通の「ゲーム」との関係性について教えてください。

  • 井上:

    まず、ゲームの歴史そのものはとても古くて、ゲームは人類の歴史とともにあると言っても過言ではありません。そしてゲーム的な考え方を社会に応用しようという動きも過去、何度もありました。

    例えば、「体験型学習」などといった形で、学校の授業の中に座学以外の仕組みをどのように取り入れていくかという運動は、だいぶ昔からやられていますね。ある程度、浸透してきている一方でさまざまな挫折や限界も味わってきました。アクティブ・ラーニングであるとか、エデュテイメントであるとか、さまざまな名前がついて、その都度そこそこ広まってきたのですが、今ひとつ大きな成功例が出てこなかったという反省点があります。

    ここに来てゲーミフィケーションが大きな広がりを見せているのは、従来とは比較にならないほどテクノロジーが発達し、スマートフォンなどのセンサー技術のコストが低下したこと、さらにはゲームの要素を取り入れた活動が実際に大きな成果を上げたことがあると思います。

    たとえば、2008年のオバマ大統領の選挙運動ではSNSが大きな役割を果たしていますが、そのSNSではたくさんのゲーム的な仕掛けが施されており、100万人を超える支援者があたかもゲームを楽しむように運動を後押ししたことが成功をもたらしています。

井上先生がゲーミフィケーションに注目されたのはいつ頃からでしょうか。

  • 井上:

    私は基本的にはゲーマーですので、ずっとゲームというものが持っている潜在的な応用の可能性のような部分には興味を持ってきたのですね。そもそも研究者としての私の専門は「人がどのようにしてゲームにのめりこんでいくのか」というプロセスのモデルを作ることなのです。ですので、私の基本的な研究テーマの応用だというところがあります。

    とりわけ、大きなきっかけになったのは東日本大震災の3日後の2011年3月14日、節電が切実な課題になっていることを知り、「節電」をテーマにしたゲームができるのではないか、それがあればかなり節電できるのではないかと考えて「#denkimeter」という節電ゲームをみんなでやりましょう、とウェブ上で呼びかけたところ、大変な反響を得ました。

    こうした経験を通して“ゲームのチカラ”を確信していたところ、2011年にシリコンバレーで「ゲーミフィケーション」という言葉が大きく注目を集め、いくつかの成功したベンチャー企業も出てきました。そこで、日本でもゲーミフィケーションを広めたいと考えて本を出すことになりました。それが2012年1月にNHK出版から出させていただいた『ゲーミフィケーション』です。

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井上 明人 氏
1980年生まれ。国際大学GLOCOM客員研究員。慶應義塾大学院政策・メディア研究科修士課程修了。2007年国際大学GLOCOM助教。2010年日本デジタルゲーム学会第一回学会賞(若手奨励賞)受賞。東日本大震災直後の2011年3月14日より節電ゲーム「#denkimeter」プロジェクトを提唱し、話題を呼んだ



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