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スペシャルインタビュー 第4回 『起業家のように企業で働く』 小杉俊哉氏インタビュー 変化の速い時代だからこそ求められる企業人の起業家マインド

2014年04月25日

 就業・雇用形態が変化し、これまでと同じ働き方をしているだけでは生き残っていけなくなった時代。最近では、場所や組織に縛られない「ノマド」という働き方や起業がもてはやされることも多くなった。そんななか、書籍『起業家のように企業で働く』(クロスメディア・パブリッシング)を出版し話題になっているのが、経営学者、キャリアコンサルタントの小杉俊哉氏だ。小杉氏は、マッキンゼー、ユニデンやアップルなどで人事を担当した経歴を持つ。自身も起業し、ベンチャー企業の支援も手掛けているにも関わらず、なぜ「企業に所属しながら起業家スピリッツを持って働くこと」を勧めるのか。小杉氏に話を伺った。


小杉俊哉(こすぎ としや)氏

慶應義塾大学SFC研究所上席研究員、合同会社THS経営組織研究所代表社員
詳細プロフィールはこちら

なぜ、起業家のように働く企業人が求められるのか

起業やノマド的な働き方がはやるなか、なぜ「企業に属すること」を提案しているのでしょうか?

  • 小杉:

    ノマドで収入を得ている人は、カリスマ的な魅力があり、テレビや雑誌などによく登場します。有名になることが食べていくための前提としてあるので、ノマドで食べていくのはなかなか難しいと思いますよ。また、私は数多くの起業家と接してきましたが、彼らは最初から他の人と違うという印象がありました。学生時代から、すでにさまざまな事業を行っています。ですから起業に関する書籍を買って、起業するかどうか迷っているような人はそもそも起業家に向かないと思います。ベンチャーの起業家は必ずしも「優秀」とは限りません。むしろ、リスクをリスクだと思わない「バカ」な部分が少なからずある。企業の文脈で優秀な人が、必ずしも起業をして成功するとは限らないんですね。

つまり、誰もが成功するわけではないと。

  • 小杉:

    そうです。再現性が低いので、誰にでもオススメできるものではないのです。しかし、企業内で起業家マインドを持つ働き方なら、大きなリスクを背負うこともありません。個人事業主や起業を経験した自分の経験から言わせてもらうと、会社員のなにが羨ましいかと言うと、毎月お金が入ってくることですよね。さらに、企業にはブランドがあって、大企業に勤めていれば、名刺一枚でいろんな人と会うことができます。個人事業主と違って自分がなにをしている人物なのか、いちいち説明する必要がないことも魅力です。


フリーランスだとお金を借りるのも大変だと聞きます。

  • 小杉:

    そうですね。社会的に信用の低い人間だとみなされてしまいますから。しかし、企業に勤めていれば生活も安定しますし、「人脈、ブランド、資金」という会社のリソースをフル活用して働くこともできます。企業のなかで、企業の力を利用しながら、起業家のようにイノベーションを起こしていくことができれば、それは素晴らしいことですよね。ですから「起業vs会社員」という二項対立で物事を考えるのではなく、お互いの良い部分を採用すればよいと思う。それが、『起業家のように企業で働く』という提案なのです。

会社で言われたことだけをやっているよりも、そちらのほうが楽しそうです。

  • 小杉:

    右肩上がりの成長が続いていた時代は、組織に対して従順な社員が求められていました。一度就職するとキャリアなんてことは考えなくてもよくて、終身雇用で定年まで会社に尽くすことが美しい姿であり、多くの人がそのつもりで働いていました。ところが、低成長時代の現在では、会社は全従業員を生涯にわたって雇い続けることが困難になっています。実際に多くの人が会社を去らざるを得なくなった事例がたくさんあることは、皆さんもご存知の通りだと思います。また、評価システムや給与体系が変わって、年功序列制を採用している企業も減りました。より実力がある人に高い給料を与える成果主義のシステムが浸透してきています。場合によっては、50代で給料が大幅に下がるなんてことも普通にある。それでも会社で生き残っていける実力がある人はよいですが、産業構造が変われば事業部ごと売却されてしまい、要らない人材になることもあります。

そういう背景もあり、仕事に関して危機感を持っている人が周りに増えたように思います。

  • 小杉:

    そうですね。しかし、就職氷河期が長く続いてきたので、若い人のなかには、「せっかく入った会社なので辞めたくない」という意識が高まっていると言われています。しかし、今の企業には組織にしがみつくだけの人材を雇い続ける余裕はありません。当たり前のことですが、会社に利益を与えている人材、市場価値が高く、どの会社でも欲しがるような人材を雇いたいと思っている。また、時代の流れが速くなってきているため、会社の文脈でしか力を発揮できない柔軟性の低い人材は、企業にとってリスクそのものです。

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wisdomとは?

小杉俊哉(こすぎ・としや)氏

1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NEC入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー・ インク、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て、現在、同大学SFC研究所上席所員。合同会社THS経営組織研究所代表社員。著書に『リーダーシップ3.0~カリスマから支援者へ』(祥伝社新書)、『30代の働き方は挑戦だけが問われる』(すばる舎)、『ラッキーをつかみ取る技術』(光文社新書)など。



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