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コラムニスト 金子 晴彦 (かねこ はるひこ)

日本写真協会会員

 1995年から香港に4年駐在し、ビクトリアピーク中腹のコンダット通りに住んだ。海辺から続く高層ビル群の大都会はそこまでで、その上にはジャングルに覆われた急峻な山肌がのしかかるように伸び上っていた。山は冬には霧にまかれ、雨季には岩場に見事な滝がかかった。夏の緑はまばゆいほどに輝き、秋はさわやかに晴れ渡った。季節の移り変わりを見ていればまるで山小屋に暮らしているかのようだった。
  時折、部屋を飛び出し、山へ登った。コンダットを西へ向かい、香港大学の裏門の前から山を登るハットンロード歩道に入る。途端に頭上をジャングルがおおい、甲高い鳥の声が響き渡る。汗が噴き出す頃にジャングルが途切れて稜線に向かう土道が現れる。そこを登れば視界は一気に広がり背後にビクトリアハーバー、正面にビクトリアピークが姿を見せる。すがすがしい山の気があふれ、不動の山の安定感のおかげで、都会暮らしでささくれ立った心が落ち着く。
  マンションの一室からあっと言う間に大自然の只中へ。都会と背中合わせに見事な自然のある街。全く思いがけないことだがこれが香港だった。以来ぼくは香港の自然にのめり込んだ。
  カントリーパーク設立30周年の昨年以来香港では自然のガイドブックの発行が続いている。その日本語訳を引き受けて、改めて香港の自然の魅力を知った。香港の宝はビジネスと自然だ。そのわりには自然の紹介はされてこなかった。これから一年、24回にわたってその万分の一なりともご紹介したい。
 それをこの目で見たいと言う気になったらどうかすぐにも出かけていただきたい。
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