− 第3回 −
財団法人日本自動車研究所ITSセンター長 藤井 治樹氏
『より良いクルマ社会を目指して!』ITS自動決済で"らくらくドライブスルー"
「ゆとりの達人」は、生活を快適に楽しくすることを実践している達人をご紹介するコーナーです。第三回は、長年に渡って安全で豊かなクルマ社会の普及を目指して活動を行っている財団法人日本自動車研究所 ITSセンター長藤井治樹氏にお話を伺いました。

財団法人日本自動車研究所(JARI)は、3月25日より愛知県で開催される「愛・地球博 (愛知万博)」の期間中、会場周辺や名古屋市内の19箇所の駐車場においてITS自動決済ステムの実証実験を開始しました。ITS(Intelligent Transport Systems)とは、最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両の情報をネットワークで結び、安全性、輸送効率などの道路交通に関する様々な機能の高度化を図ろうとするものです。
ITS自動決済システム実証実験は、ETCで用いられている無線通信技術のDSRC、及びICクレジットカードを利用しており、ETCの進化型のサービスモデルとして大きな注目を集めています。
DSRC(狭域通信)は、自動車に搭載された車載器車両に搭載された無線装置)と道路や店舗などに設置された路側機(路側に設置された無線装置)の間で、移動中も高速・大容量の情報通信を可能にする新しい通信技術です。2005年8月には、800万台を越えたと言われるETCですが、ETCではDSRCの機能の一部しか活用していません。
近年DSRCに関する通信規格や法律の整備が進み、駐車場のノンストップ入出門やガソリンスタンド、ファストフード店での注文や支払い、各種情報のダウンロードなど、さまざまなサービスにDSRCを応用することが可能となり、今後の大きな発展が期待されています。

ITS自動決済システムのイメージ図
本当の便利さを体感してもらいたい
JARI主任研究員香月氏と現地システムの設置を手がけた住友商事荻田氏に同行いただき、実際に名古屋市内の民間駐車場で、ITS自動決済を民間駐車場で体験しました。
ITS自動決済を利用する場合と、従来の現金決済を比較してご覧いただきましょう。

ITS自動決済モニター車での駐車手順
1.クルマの停止位置を気にすることなく入場。ゲートのDSRCアンテナに近づくと、ICクレジットカードを挿入している車載器と通信を行います。
一般車両での駐車手順
1.駐車券をとるために、クルマの幅寄せをしながら入場ゲートに停車します。
ここでは、左ハンドルの場合は、一旦運転席から降りて駐車券をとらなければなりません。



Aタイプ車載機取り付け例
Bタイプ車載機取り付け例
ITS自動決済モニター車での駐車手順
2.カードでの支払い意思の確認として、DSRC車載器の確認ボタンを押すとゲートが開きます。
窓を開ける必要もなく、無線による通信のため、スムーズな入庫が可能。
一般車両での駐車手順
2. 発行された駐車券をとるとゲートが開きます。


ITS自動決済モニター車での駐車手順
3. 出場ゲートでは、DSRCアンテナに近づくと、料金情報などの出場決済情報が、DSRC路側機や車載器より音声通知されます。料金は、クレジットカード決済となります。料金が通知されてからわずか10秒ほどの時間でゲートが開くため、混雑時でも待ち時間のイライラがありません。
一般車両での駐車手順
3.駐車券を挿入すると精算金額が表示されます。現金を入れて、おつりと領収書を回収します。料金の表示からゲートが開くまで、平均40-50秒かかるため混雑時には、出庫待ちのクルマの行列ができてしまうこともしばしばです。
また、雨の日は濡れてしまうことも多く、さらに現金の取り扱いは面倒になります。


モニターに参加している利用者からは、
「車種や天候に左右されずに迅速な決済サービスを実現するITS自動決済は、高速道路などで利用されるETC以上に、"ヒト"にやさしいサービスだと実感しました」。
「キャッシュレスの便利さを体感できた。これからもっと、多くの施設や場所で利用できるといいと思う」。
「駐車場の支払いは便利だが、もっといろいろな場所で使えれば車載器を購入してもいいと思う」。
「無線通信によって、決済するのでもっと時間がかかるのかと思ったが、意外に速く便利だと感じた」など概ね好意的な評価が寄せられています。
しかし、実運用を踏まえて、今後さらに処理の高速化を図り、ETC車載器との共有を目指すなど課題も残されています。また、実際には、駐車場の管理者の手間を解消するために、ITS自動決済システムに何らかの不具合があった場合には、通常の支払い処理を優先させるなど運用上の工夫も行っているそうです。しかし、こうした新しいサービスの利便性を納得していただくには、実際に利用してもらうことが一番だとして、モニター実験への積極的な参加を呼びかけています。










