− VOL.2 −
個人の知見をベースに「社内ノウハウ辞書」を構築
どのようにWeb 2.0が社内で活用されているのか──。その実態が最初に明らかになったのは、最前線で活躍する営業部です。どうやら、営業部では、個人に蓄積しがちなノウハウを「Wiki」を使って共有し、社員間のスキルの平準化などを狙っているようです。

営業部員 「どうした足田。おなかでも壊したか?」
足田氏 「どうやら、俺、九州に転勤になるみたいなんだ…。転勤自体は慣れてるけど、これまでは関東中心だったから、うまくやってけるかなぁと思って」
営業部員 「仕事の心配か?」
足田氏 「だって、大きくやり方とか変わるだろ。やっぱり」
営業部員 「そうだろうな…。そういえば、社内Wikiに地域ごとの営業ノウハウまとめてあったぞ。あれ、役に立つんじゃないか?」
足田氏 「そうか、その手があったな。どれどれ…」
営業部員 「やっぱり地場の百貨店や小売店は、独特みたいだな…」
足田氏 「そうだな…。でもこれを知っているのとそうでないのは、大違いだ。そういえば、九州といえば、あの有名な▲▲さんのノウハウも活きそうだな。あとでブログも見てみよう!」
「営業」と一言でいっても、必要となる知識やノウハウは、担当する顧客や業界によって千差万別。例えば、「インスタント・マッスル・ヨーヨー」で知られるおもちゃメーカーのスタートイ社の場合は、販売する商品によって対象となる顧客の年齢層は違いますし、当然、販売戦略も変わります。また、百貨店やデパート、大手チェーンの多い市街地と小さな小売店がメインの地区、どちらを担当するかによっても、注意すべきポイントが大きく変わるのは、いうまでもありません。
足田氏が頭を抱えているのもそのこと。これまで、関東を中心に営業を担当してきた足田氏が、近々九州に転勤することになり、担当顧客が変わるだけでなく、地域性の変化にも対応しなければならなくなったのです。
このような事態に備えるには、仕事におけるノウハウを個人に蓄積するのではなく、社員間で共有しておく必要があります。以前は、そうした概念すらなかったスタートイ社でも、近年、情報共有システムを構築し、そうした取り組みを進めてきました。しかし、システムを利用するには、多少とはいえ、ITスキルが必要だったため、使いこなせる営業担当者とそうでない担当者の間には、まだまだ大きな差がありました。
そうした問題を緩和するツールとして、利用が広まりつつあるのが「Wiki」です。Wikiとは、多くの参加者が共同で運営しながら、互いにコンテンツを編集しあうというシステムを採用したWebサイトのこと。スタートイ社では、これをビジネスに活用し、ビジネスに役立つ情報について各自が情報を寄せ合う、いわば「社内辞書」のようなサイトを構築しているのです。
利用時には、使いなれたインターネット検索のように利用できるとあって、それほど高いITスキルも必要ありません。また、前述の情報共有システムは、提案書や企画書などの文書をサーバにアップして共有するという形式を採用していたため、完全なドキュメントでないと登録してはいけないような雰囲気がありましたが、このWikiサイトには、堅苦しさはなく、誰もが気軽に情報を寄せ合っています。この気軽な情報にこそ、本当に役立つノウハウがあると好評です。
どうやら、このサイト内には、地域、地区ごとの営業ノウハウもまとめてあった様子。それを見つけた足田氏は、それを参考に、新天地での活躍を誓っているようです。

●コラム
コールセンターでも活躍中のWikiサイト
Wikiを有効活用している部署は他にもあります。スタートイ社のコールセンターです。日々、スタートイ社製品に関する様々な問い合わせ電話がかかってくるコールセンターでは、いかに質問への回答を効率よく行うかに頭を悩ませていました。そこで、更新、検索のしやすさを評価し、Wikiを採用。トラブル例や質問例をWiki上にとりまとめた上で、それをベースに顧客サポートを実施しているのです。
些細な情報も網羅することができただけでなく、常に最新の情報をもとに回答することができるとあって、顧客からの評判も上々だといいます。
Web 2.0で個人の知見をグループの総合力へ
前回、NECが「InnovationCafé(イノベーションカフェ)」というWebサイトを構築し、ブログ、Wikiなどを社内で活用しているということを述べました。今回は、もう少し詳しくInnovationCaféの活用状況を紹介しましょう。
InnovationCafé内のブログには、個人が運営しているものと特定のテーマに沿ってグループで運営しているブログがあります。中でもグループブログには、技術的な情報を持ち寄っているもの、InnovationCaféの運用について話し合っているもの、製品開発を目的とした社内トライアルに対する意見を募っているもの、さらには子育てに関するものなど、実に様々なブログが存在します。
NECといえば、グループ全体で15万人以上の人が働く企業。ですから、従業員全員と顔見知りとなった上でコミュニケーションを取ることなど、まず不可能です。しかし、社内には似たような業務を行っていたり、誰かの知見が他の人の仕事に役立つということも多いはず。その点、ブログを活用すれば、面識がなくとも自在にコミュニケーションが行え、こうした課題を解決できる可能性を秘めています。実際、InnovationCaféでも、面識のないメンバー同士が活発にコミュニケーションを行っているケースも多く、個人の力をNECグループの総合力の向上に結びつけられるのではと担当者も期待を寄せています。
また、Wikiサイトである「イノペディア」には、InnovationCaféの利用法が、初めて参加するメンバー向けにまとめてあったり、ブログ内でメンバーが情報を寄せ合い、一定の結論を見た項目などが「まとめサイト」として掲載してあります。
加えて、"NECならでは"という企業特性が活かされたエピソードもあります。Web 2.0の特長の1つにマッシュアップ、つまり開発、機能拡張が容易なことがありますが、これまでInnovationCaféにも様々な機能が追加されてきました。しかも、その一部は、参加者自身が開発し、提供しているのです。例えば、キーワードを設定し、それに関係のある記事が投稿されたらメール通知されるという機能などが代表例。ソフトウェア開発などを行うNECらしい取り組みといえるのではないでしょうか。
このようにNECは、Web 2.0の活用を進める一方、ユーザ企業のWeb 2.0活用も支援。実際、ブログやWiki製品などを提供しており、自社がユーザとして培った経験を企業のWeb 2.0活用支援に役立てていく予定です。

(2007年11月5日公開)

-
Web 2.0という言葉をよく見聞きしますが、Web 2.0的といわれる新しいWebのあり方は、生活者(消費者)を中心とした・・・続きを読む

-
会社を守り隊!!「みんなで一緒に考える『Web 2.0』の世界!の巻」
セキュリティの伝道師、「会社を守り隊!」こと、NECグリーンロケッツの選手が、今回は企業とWeb 2.0の関係について調査!・・・続きを読む










