− 第11回 −
ジャガイモの旬はこれからだ (2008年1月15日掲載)

北海道の広大な畑を巨大なハーベスターが唸りを上げて走り続けるジャガイモ収穫の風景は10月頃ですでにオシマイ。堀りたてジャガイモのシーズンは終わり、これからは貯蔵したジャガイモが出回ってくる。実は、ジャガイモはここからが美味しい季節の始まりだ。堀りたてのジャガイモは瑞々しくフレッシュで、それはそれでよいものだけれど、味の面では少し物足りない。実はジャガイモを低温下で貯蔵しておくと、デンプンが糖に変わって、つまり甘くコクのある味に変化する。僕が好きな、ハンバーグの名店では、常に付け合わせにベイクドポテトを、それも貯蔵して味が最大限に引き出された大ぶりな男爵薯を誇らしげに、一個丸ごと出してくれる。お腹が一杯になるけど残すのがもったいない美味しさだ。家庭でも、紙袋などに新ジャガを入れて5℃前後で保存すれば糖度が上がるので試してみて欲しい。
このジャガイモの世界では、実は男爵薯、メークインとの新旧交代の時を伺っている若手ホープがうようよ居る。ジャガイモ育種の専門家からすれば、男爵薯、メークインは欠点だらけの過去の品種。両者の資質を超えた新品種が次々に出てきているのだ。昨年発表された「こがね丸」は、フライドポテトにした時のホックリ感と鮮やかな香りが素晴らしく、冷めても美味しいという特性をもつ。今年、「北海94号」というぶっきらぼうな番号から「はるか」という可愛い名前で品種に昇格した新品種は、目(芽のことをこう言う)が赤いのが特徴で、甘やかで純白の果肉、サラダにすると絶品というものだ。ただし、これら新品種が店頭に並ぶのは、最短で3年後。これから種芋を生産し、全国の農家に配って、栽培を待つ段階なのである。
ちなみに、もしフライドポテトを試みたいなら、貯蔵して糖度を高くしてはいけない。通常のジャガイモの糖は単糖類といって焦げやすいからだ。年越し前の、まだ若いジャガイモであれば、櫛形に切っていったん120℃くらいの低温で素揚げをし、食事の寸前に160℃くらいの高温でカラッと二度揚げする。これだけで驚くような美味しいフライドポテトを楽しむことが出来る。ジャガイモの季節はこれからだ。










