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uIDレポート

− 第十一話 −

ユビキタスとユニバーサル

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 これまでの連載で、ユビキタスコンピューティングの技術や実証実験などの事例を紹介してきました。今回は少しユビキタスコンピューティング技術と人のかかわりについてお話したいと思います。



いつでもどこでも、そして「誰でも」

 ユビキタスとは、もはや言うまでもありませんが、「遍在」、「いつでもどこでも」ということです。時々私達も「どこでもコンピュータ」と呼ぶことがあります。いつでもどこでもICT(Information and Communication Technology)の恩恵に浴することができることがユビキタスの狙いの一つです。この、いつでもどこでも使える技術が、特定の人だけが使えるとか、また逆に特定の人だけは使えないものであったら、それはまさにデジタルデバイドであり、社会基盤を支える技術としてはふさわしくありません。もしもユビキタスの技術が、社会基盤となったにもかかわらず、ユニバーサルデザイン化されていないために、使えない人がいるとするならば、その人にとっては、「いつでもどこでも何も『できない』環境」になってしまうのです。従って、ユビキタスの技術は、「誰にでも」つまり、「ユニバーサル」な技術でなければならないという宿命を持っています。



Enableware(イネーブルウェア)

 私達TRONプロジェクトでは当初から、Enableware(イネーブルウェア)という、今の言葉でいえば、コンピュータのユニバーサルデザインへの取り組みをしてきました。そこには、身体に障害を持つ方々を助ける様々な工夫と機能が盛り込まれています。ところが、Enablewareの20年の研究の中で、ユニバーサル技術というのは、身体に障害を持つ一部の人のための技術だという捕らえ方をするのではなく、全ての人に関連する技術なのだという考え方が重要であることがわかってきました。そこで、私達はEnablewareを、「身体条件と環境の間のミスマッチを埋めるための技術」であると再定義したのです。

 例えば、コンピュータの画面を読み上げる技術は、目が見えない方がコンピュータを使うための技術として開発された経緯がありますが、目が見えないという状況は決して目が不自由な方だけの状況ではありません。暗闇にいれば晴眼者でもコンピュータの出力を見られませんし、自動車の運転中も画面を見ることはできません。目が見えなくてもコンピュータが使える技術というのは、目が不自由な方だけではなく、広く様々な状況下で有用性があるのです。ユビキタスコンピューティングは、いつでもどこでもコンピュータが使えることを意味しますから、その中には、こうした目が見えない状況下でコンピュータを使うことも含まれるのです(写真1参照)。

実験に使ったpT-Engine

写真1:自律的移動支援プロジェクトより
点字ブロックにRFIDを埋め込み、視覚障害者をガイドする


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