− 第8回 −
企業業務や生活を支援するセンサーネットワーク
〜企業・社会システムに新たな付加価値を〜
モノ、人が動くところにセンサーあり

センサーネットワークが効果を発揮するのは、もちろん個人住宅だけではない。集合住宅や学校、オフィスビル、百貨店、駅、空港などの規模の大きな建築物、ショッピングモール、商店街、工場など、モノや人の動き、周辺の環境を監視・コントロールする必要のあるすべての場面で利用できる可能性を秘めている。
例えば建築物では、建物内を快適な環境に保ち、防犯・保安対策に効果があるだけではない。センサーを建築物に埋め込めば劣化診断が容易になり、維持管理費用や補修費用の低減が見込め、ひいては建築物の長寿命化にもつながる。同様に、山林や河川にセンサーに地盤の変位などを測定するセンサーを設置すれば、土砂崩れ、洪水、火山噴火などの災害を事前に予知し、被害を最小限にとどめる効果も期待できる。
また、地震や台風、洪水などの災害時には、被災状況を正しく把握する手段や、生体反応を感知するセンサーを利用した人命救助、ガス爆発や火事、建物倒壊といった二次災害を防止する手段としての応用も期待できる。実際、2002年9月1日の「防災の日」に東京・練馬区で実施された防災訓練で、災害時緊急用ネットワーク構築システムの実証実験が行われている。
センサーは、必ずしも固定されているとは限らない。通信機能を備えた自動車は、それ自体が走行中の道路周辺の情報を収集する移動センサーだ。カーナビゲーションシステムを装備していれば走行している位置を特定でき、走行スピードは渋滞状況の判断材料となるから、同じ道路を走行している他の自動車に正確な渋滞情報をリアルタイムに伝えることができる。また、ワイパーの動作状態から降雨の強さを判断でき、エアコンの動作状態からは温度や湿度がわかるから、局所的な気象情報の判断材料にすることもできる。さらに、タイヤに圧力センサーを取り付ければ、路面状況の診断も可能だ。
同様に、人にセンサーを装着するのもセンサーネットワークの利用法のひとつだ。子供や老人がセンサーを縫い付けた衣服を身に着けていれば、家族は子供や老人がいる位置や健康状態を正確に把握でき、安心して家を送り出せる。万が一、外出中に健康に異常が起きた場合にも的確な対処がしやすい。健康状態の情報はインターネット経由で医療機関に送られ、そこに蓄積されている過去の医療記録などを照合することにより、救急車での搬送中に的確な早期処置を施すことも可能だ。










