− 第3回 −
次世代モバイルの姿
〜いつでも、どこでも、どんなデバイスからでも
必要な情報にアクセスできる時代へ〜
モバイル・インフラの進化
現在、モバイルのインフラストラクチャとして利用されているのは、下記の三つである。
1) PHSの技術を利用したもの
2) 無線LANの技術を利用したもの
3) 携帯電話の技術を利用したもの
PHSの技術を利用したインフラストラクチャは、現在もっとも一般的に利用されているもので、料金的にも定額制がいちはやく適用されるなど、使い勝手のいいものとなっている。
しかしバンド幅が64Kbpsから、128Kbps程度と低速であり、今後の利用には問題が多い。
これについては総務省が、電波状況に応じて変調方式を変更し、ワイドバンド化(現状の約3倍)、フレーム当たりのスロット数を倍にするといった手法を取り入れ、基地局と端末の間で1Mbpsを実現するという方式を発表している(高度化PHS)。
ただ、商用化に当たっては、バックボーン回線および基地局の改善にかなりの投資が必要とされており、PHSの各事業者はいまのところ様子見の段階にある。PHS事業自体が成熟期に入ってしまっていること、また、1Mbpsを実現しても、次に述べる無線LAN等との価格面での競争で不利になりかねないことから、高度化PHSの普及に疑問を投げかける筋も多い。
一方、無線LAN技術は、いまもっとも着目されている領域ということができるだろう。IEEE802.11系技術(b、a、gなど)は、既に、社内や家庭内、そして街中のホットスポットで各種利用されており、最高スループットで54Mbps、実効でも20から30Mbpsというサービス提供に成功している。
IEEEではさらに高速の技術の定義も進めている。その一つは802.16という固定ワイヤレス技術であり、先のITU TELECOM 2003(2003年11月にスイスのジュネーブで開催)では製品の発表も行われた。
この技術は移動体通信ではなく、ワイヤで接続できない環境での無線環境を提供するものだが、無線というインフラストラクチャで100Mbpsという高いコネクティビティを提供しているという点で着目される。
さらに大容量のものとしてはIEEE802.15.3aとして標準仕様策定が進められているUWB(Ultra Wide Band)がある。これは、レーダーの技術を基盤とした従来の無線技術とは全く異なる技術仕様のものであり、その名の通り、極めて広い帯域にパルスを発信することで大容量無線通信を可能とする。
すでに10m以内の短距離では400Mbpsを超える実験結果が得られており、将来的には最大1Gbpsクラスの速度の実現が期待されている。広帯域を利用することから、遠距離での活用は既存の無線通信との干渉が予想され困難と思われるが、ビル内、室内などについては現在のIEEE802.11系技術に取って代わるものとして実用化される可能性が高い。
無線LANが、高速ではあるが特定の場所に限定された「点のモバイル」として活用されているのに対し、移動中でも一定程度繋がる「線のモバイル」機能を果たしているのが携帯電話系の技術だ。
現在は348Kbps程度の速度となっている3G(第三世代携帯電話技術)であるが、2005年までには、W-CDMAの高速パケット通信仕様であるHSDPA(high speed downlink packet access)を利用した14Mbps(実効は3Mbps程度)対応機種が出てくると想定されている。
無線LAN系に比べれば遅いものの、移動しながらでもメガ単位の通信が実現できるようになれば、モバイルの利用範囲は大きく広がることになろう。
携帯電話についてはさらに着目される流れがある。それは概ね2010年を目標に導入が予定されている4G(第四世代携帯電話技術。諸外国ではbeyond IMT2000と呼ぶ場合が多い)である。
4Gのポイントは、単なる通信速度の増加に留まらない。電話、無線LANといった区分けをなくし、本当の意味でのシームレスなコネクティビティを実現する。その初めてのインフラストラクチャとなりうる可能性を秘めているのだ。











