− 第2回 −
グリッドコンピューティングの現状と将来性
エンタープライズ・グリッドの誕生

バーチャライゼーションが、キーワードとして初めに注目を浴びたのは、「ブレードサーバ技術」の登場の時である。
周知のように、ブレードサーバは、複数のサーバ群を疑似的に一つのサーバとして取扱い、巨大な負荷に対応できるようにしたクラスタリング技術を一歩進めたものであり、サーバ・マシン単位ではなく、CPU、メモリ、I/Oインターフェース、ストレージ単位での柔軟な組合せを可能としている。集積したサーバのチップやメモリを必要に応じて融通しあうというブレードサーバの技術は、筐体によって分割された既存のコンピュータの概念を超える「仮想コンピュータ」というものを実にわかりやすく示すものだった。
誤解のないように言っておけば、バーチャライゼーション自体は、メインフレームが複数の計算を並行処理するための技術として、長い歴史を持っている。違っていたのは、メインフレームにおけるバーチャライゼーションが単体のマシンの仮想「分割」であったのに対し、ブレードサーバにおいては、複数のデバイスを柔軟に組合せてサーバを作り出すという仮想「統合」であったということである。
時代は、ブレードサーバから、さらに、インテル・アーキテクチャなどの安いPCサーバでバーチャライゼーションを活用する方向へと進んでいる。ブレードを数十台まとめたシステムをGiB(Grid in a Box)と称しているように、これはまさにグリッドコンピューティングそのものである。
ただし、グリッド化の狙いは、サイエンス・グリッドとは異なり、巨大なコンピュータ・パワーの活用にはない。ブレードサーバがウェブ・アクセスの処理に使われていることに象徴されるように、日ごろ企業内で使っているハードやソフトの効率利用を狙うためにバーチャライゼーション技術を活用するわけだ。
一日当たりのCPUの利用率は、Linux/UNIX系サーバで20%程度、Windows系サーバで10%程度、PC端末だと5%程度に過ぎないと言われている。残る「遊休時間」をどのように効率活用するか。
これがエンタープライズ・グリッドのポイントである。











