− 第1回 −
RFIDは実世界と仮想世界をつなぐテクノロジー
〜モノがネットワークにつながる未来の夢〜
乗り越えなければならないハードル
現在のRFIDタグは、シリコンでできたチップ部分と金属でできたアンテナで構成されている。かなり小さくなったとはいえ、それでも、0.4ミリ角のシリコンチップに数センチのアンテナがついており、決して「目に付くことがない」というようなサイズではない。
シリコンをどんどん紙のように薄くしていけば、もちろん異物感のないものを作り出すことは不可能ではない。現在の技術でも20ミクロン〜30ミクロンまでなら薄くすることができる。しかし、紙のように薄くしたからといって、折り曲げて、折り目を付けても大丈夫かというと、なかなかそういうわけにもいかないし、何よりコストも上がってしまう。
ちなみに一時、紙幣にRFIDタグを付けて、偽造を防止しようというアイデアが検討されたことをご存知の方も多いと思うが、これもあくまで紙状のシリコンを紙幣に貼り付けるようなもの。決して紙とRFIDタグが一体化するような技術ではない。
加えて熱という問題も見逃せない。使用時の暑さ寒さではなく、各種の商品の製作プロセスで必要となる加熱過程の際の熱問題である。
RFIDタグをどんな製品にでも埋め込もうというのなら、当然、製作プロセスの一部に組み入れることになり、結果、意外なところで意外な温度に耐える必要性が出てくる。
もちろん、現在でもメモリーチップはプラスチックのパッケージに入っているので、プラスチックの成型に必要な程度の温度ならば問題ない。しかし、たとえば、食器に装着しようとした途端、陶磁器との一体成型という課題がすぐ出てくる。またタイヤなどのゴム製品などの場合も同様に高熱にさらされる。
ガラス、陶磁器などの硬質系の素材の場合、素材の成形に必要な温度は1300度内外。ゴムの場合はこれよりも低いので、概ね1300度に耐えられるだけの耐熱性がチップにあれば、ほぼ全ての製品で一体成形が可能ということになる。
現在の半導体では、利用している素材自体、ここまでの耐熱性は持っていない。高融点金属など、全く新たな材料での半導体の製作技術の開発が必要となる。
アンテナの大きさも大きな課題だ。
RFIDタグは情報の読み書きに電波を使うわけだが、その理論は無線を発見したマルコーニの時代から何も変わっていない。さまざまな最新の物理法則が発見されても、ほんとうに「何も」変わっていないのだ。
すなわち、相変わらず、電波の波長に合わせたアンテナが必要であり、いくらシリコン部分が0.4mm角のゴマ塩サイズになったとしても、アンテナは一向に小さくならないということを意味する。
そして、最後に、コストという課題がのしかかる。
数億個という大量ロットでの製造をしないと単価が下がらないという半導体製品特有の問題に加え、RFIDタグには「装着」という固有の問題もある。
現在のところ、一度に何万と大量生産する製品に自動的に装着するための機器はなく、装着するには手作業に頼らざるを得ない場合が多い。また、一つ一つ違うシリアル番号を書き込まなければならないので、その書き込みラインも必要だ。
RFIDタグがもたらす夢は大きい。その分だけ、そこに行き着く道にも困難が多いのだといえるのかもしれない。











