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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第62回 −

次世代モバイル網は顧客を満足させられるのか
――情報パイプ論を乗り越える米携帯業界の挑戦

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【2012年1月16日16:00時締め切り】


 12月1日、国民生活センターは“急増するスマートフォンのトラブル”と題して発表をおこない、「スマートフォンの特性についての情報が消費者に十分行き渡っていないなかで、従来の携帯電話の延長線上で利用され、トラブルが生じている」との警告を発した。

 携帯電話全体に対する苦情が減る中、スマートフォンは逆に「電池消耗が激しい」「料金請求が説明と違う」などの苦情が増加している。米国ではスマートフォンの普及が先行していることもあり、こうした消費者満足度に関する問題が数年前から表面化していた。

 来年から日本でも本格化する次世代モバイル・ブロードバンドの普及を前に、スマートフォンなどIPベースのモバイル端末とカスタマーサービスのあり方は、大きな問題となるだろう。

 今回は米国の先行事例を見ながら、モバイル時代のカスタマーサービスのあり方と通信事業者の戦略について解説したい。

なぜ、AT&TはiPhone販売でトップなのか

 日本では、KDDIがアップル社のiPhoneを発売し、ソフトバンク版との競争が話題となったが、米国でも長年独占販売を続けてきたAT&Tに対抗して、2011年からベライゾン(Verizon Wireless)がiPhoneを販売している。

 米国では、2007年に登場して以来、AT&TのiPhoneユーザーは“回線が遅い”“カバー地域が狭い”といったクレームを声高に唱えていた。そのため、証券業界やメディアは今年「多くのユーザーがベライゾンに鞍替えするだろう」と予想していた。というのもベライゾンは堅実なサービスで定評があったからだ。しかし、この予想は空振りに終わり、AT&TがiPhone販売でトップを維持している。

 このことは、モバイル・データ・サービスにおけるサービス開発と顧客満足度の難しさを改めて浮き彫りにした。

 米国では来年から次世代モバイル・サービス“LTE”競争が始まり、iPhoneやAndroid(1)携帯などのスマートフォンが、ますます普及するだろうと予想されている。その一方で、スマートフォンに対するトラブルは増加しており、顧客対応が通信事業者にとって重要な課題となってきた。

米国では今年、空前のLTE整備競争が始まった

 カスタマーサービス問題に入る前に、まず米国における次世代モバイル・サービスの状況を簡単にまとめよう。

 11月20日、米携帯大手のベライゾンは次世代モバイル・サービスのLTE(Long Term Evolution)で新たに4マーケットを追加し、2011年末の目標だった“179市場、カバー人口1億8,600万”を1ヶ月以上はやく達成した。

 LTEと言えば、日本ではNTTドコモがXi(クロシー)の名称で提供しているサービス。米国のベライゾンは受信レベルで5Mbpsから12Mbps程度の速度を保証しており、筆者もベライゾンのLTEモデムを利用しているが、会議や展示会などでは混み合うWi-FiよりもLTEの方が快適だ。

 ベライゾンに続いて、米携帯業界トップのAT&T(AT&T Mobility)社も、今年LTEサービスを開始した。同社は、3月20日に発表したTモバイル(T-Mobile USA)の買収によって“周波数を確保”してからLTEを開始する予定だった。

 しかし、政府による買収審査が難航(2)したため、ベライゾンとの対抗上、夏に自社の周波数を使ってネットワーク整備を開始した。AT&Tも11月20日にラスベガス市やオクラホマ市など6都市でLTEサービスを開業し、2011年末の目標と定めていた“15都市、カバー人口7,000万”を達成している。




(1) Androidは、米Google社が開発提供しているモバイル用OS。これを搭載したスマートフォンをアンドロイド携帯と呼んでいる。

(2) AT&Tは2011年11月22日、連邦通信委員会に提出していたT-Mobile買収にともなう業務移管申請を取り下げた。AT&Tは正式な買収撤回声明を発表していないが、申請をやめたことにより同買収は事実上、撤回されたと言えるだろう。

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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
通信業界を得意とする在米ITジャーナリスト。京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。



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