− 第49回 −
政権移行プロジェクト─いよいよ始動
オバマ新政権の情報通信政策を考察する
新政権ではどうなる──FCCの委員長選び
放送通信行政を一手に牛耳るFCCは、5名のコミッショナーによって構成される。基本的に民主党と共和党からそれぞれ2名のコミッショナーが選出され、残り1名(コミッショナー兼委員長)は政権を握る党から選ばれる。そのため、新FCCでは現在のケビン・マーチン委員長(共和党)が辞め、民主党系の新しい委員長が選ばれることになる。そのため「いつ、どのような人物が新FCCの委員長になるか」については、ハイテク業界は深い関心を示している。
退任時期が取り沙汰される
ケビン・マーチンFCC委員長
(2008年WCA会議で筆者撮影)
新委員長就任の時期については、いくつかの説がある。従来通り、1月の新政権発足直後に新委員長が就任するという説。もう一つは、ケビン・マーチン委員長が、現在重要な課題となっている『地上波テレビ放送のデジタル移行を終了(2月17日アナログ停波)させて』から退任するという説。そのほか、オバマ新政権が人選に手間取る期間、臨時のFCC委員長を置くという説もある。この場合、現FCCコミッショナーのマイケル・コップス(Michael Copps)氏や、元FCCコミッショナーのジョナサン・アデルステイン(Jonathan Adelstein)氏などが臨時委員長の候補となっている。業界関係者の意見は、この各説に分かれており、現在のところどうなるかは予断を許さない。
また、新委員長の候補も噂が錯綜している。ワシントンのロビイスト業界では、政権移行チームで活躍する“ジュリアス・ゲナコスキー(Julius Genachowski)”氏やアル・ゴア元副大統領のアドバイザーを務めたFCCのベテラン“ラリー・ストリックリング(Larry Strickling)”氏などの名前が取り沙汰されている。
一方、政権移行チームのアドバイザリー・ボードでは、FCC委員長に初の女性アフリカン・アメリカンをあてたいとの意見もあるようだ。その候補としてフロリダ公益委員会で敏腕をふるった“ジュリア・ジョンソン(Julia Johnson)”氏が注目を集めている。また、元FCC委員長のリード・ハント氏やビル・ケナード氏は、FCCのベテラン“ブレアー・レビン(Blair Levin)”氏や“スコット・ブレーク・ハリス(Scott Blake Harris)”氏を押しているようだ。
◇◇◇
このようにオバマ次期大統領は、スピーディでスムーズな政権移行に向かって邁進している。とはいえ、現共和党政権とポリシーや政策が大きく食い違う民主党政権への移行では、少なからぬ混乱が生じることになるだろう。それは、昨日まで政府の基本方針と言われてきたものが音を立てて崩れ、明日からは反対の事が基本方針となる──と言った劇的な変化に直面するからだ。
しかし、シリコンバレーを筆頭にネット業界やベンチャー・ビジネス、中小通信事業者、学術・教育・研究機関などは、オバマ政権の恩恵を多く受けられると期待感に胸をふくらませている。厳しい不況に見舞われる2009年は同時に、シリコンバレーが期待する新時代の幕開けとなるだろう。
(2008年12月15日公開)

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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。









