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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第47回 −

空前のスケールをめざす
姿を見せ始めたGoogleのクラウド・コンピューティング戦略

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Amazonに見るクラウド・コンピューティングの可能性

 つぎに、Amazon EC2を例にクラウド・コンピューティングの現状を見てみたい。

EC2の内容を説明するAWS社のJinesh Varia氏(Spring Interop 2008で筆者撮影)

EC2の内容を説明するAWS社のJinesh Varia氏
(Spring Interop 2008で筆者撮影)

 Amazon Web Services社は、ネットワーク・サービスを提供するAmazonの子会社で、主にEC2とS3サービスを提供している。Amazon S3(Simple Storage Service)はネットワーク・ベースのストレージ・サービスで、業界初のパブリック・ウェブ・サービスとして2006年3月にサービスを開始した。また、同じ2006年秋にはAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)がベータ・サービスを始めている。EC2の特徴を簡単にまとめると次のようになる。 。


  1. 仮想化技術を使い、オンデマンド・ホスティングを実現
  2. 柔軟なコンピュータパワーの提供する(数分で新サーバを追加・起動できる、コンピューティング・パワーの増減が自由にできる、ウェブ・サービス・インターフェースを使った自動化ツールを提供)
  3. Linuxマシンにrootレベルでアクセスが可能(仮想環境を感じさせない)
  4. AMIs(Amazon Machine Images)により基本設定やオプティマイゼーション機能を簡易に提供
  5. 完全な従量課金サービス(1時間あたり10セント/EC2 Unit)
  6. 最小ユニットは1.7 GB of memory, 1 EC2 Compute Unit, 160 GB of instance storage, 32-bit platform

 また、同社は“システムのセットアップ費用が不要”で、個人から中小企業への普及をめざした料金設定となっている。サーバ1台から数千台規模まで、提供できるコンピューティング・パワーはスケーラビリティが高く、ユーザーは、AMIインターフェースを使って簡単にウェブ・サービス・アプリケーションを構築できるといわれている。

 取材に対応したAmazon Web Services社の Jinesh Varia氏(Technology Evangelist)は、EC2の利用状況について次のような説明をしている。

 システム開発者が(ウェブ・アプリケーション)ソフトウェアの耐久試験をする場合、急に数十倍、数百倍のコンピューティング・パワーが必要となる。EC2を使えば、テストに必要な期間だけ、必要なIT資源を利用し、使った量だけ費用をはらえばよい。あるデベロッパーは、MySpaceにアプリケーションを書いてサービスを提供した。最初は、ほとんどアクセスがなかったが、急に人気がでて数日でアクセスが急増した。EC2を使っていたので、数百倍、数千倍と急にアクセスが増えても対応する事ができた。従来なら、個人や数名の会社で、こうした急激なアクセス増加に対応することは無理だったろう。

 このようにクラウド・コンピューティングは、仮想化技術と広域アプリケーションを結びつける役割を果たそうとしている。また、EC2に対応するOSやアプリケーション、開発ツールも徐々に増えている。たとえば、Sun MicrosystemsはオープンソースのMySQL(データベース)やOpenSolaris(サーバOS)をサポートし、SaaS開発環境ではBangee社のBangeeConnectやEnomaly社のEnomalism.comが対応している。もちろん、EC2の売り上げは、まだまだ少ない。正確な数字は発表されていないが、Amazon社2008年第1四半期決算における北米の雑収入が約9500万ドルなので、6000〜7000万ドル程度がクラウド・コンピューティング関連の収入と推測できる。しかし、専門家は、ここ数年でクラウド・コンピューティングをてこに様々なSaaSプロバイダーが生まれるだろうと予想しており、EC2の売り上げも伸びると推測できる。

 また、民間調査会社のGartner社は「2010年ぐらいまでは短期間に巨大なデータ処理を行ったり、全くITインフラを持たない零細企業がクラウド・コンピューティング・ユーザーの8割を占める」が「2012年にはフォーチュン・トップ1000社のうち8割がクラウド・コンピューティング・サービスを利用する」と予想している。

 こうした状況を筆者なりにまとめると「企業アプリケーションとハード・ソフトインフラの方向性」という図になる。

企業アプリケーションとハード・ソフトインフラの方向性

 コンピュータの利用環境は、メインフレームやスーパーコンピュータを複数のユーザーが共有する“LANベース集中処理”時代からオープンシステムによる“LANベース・クライアント・サーバ処理”時代をへて現在、“WANベースの集中処理(SaaS)”時代へと差し掛かっている。こう考えてゆくと、2010年以降の利用モデルといわれるクラウド・コンピューティングは“WANベース・クライアント・サーバ処理” 時代と定義づけることができる。これを具体的にあらわすため、縦軸にアプリケーション、横軸にハードウェアの発展をとって、IBMのBlue Cloud、Google Apps、MS Live/MS Appsなどをプロットした。こうして見ると、企業アプリは赤丸部分に向かって進化していることがわかる。


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