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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第39回 −

NGNのミッシング・リンク
〜次世代企業テレフォニーを追う〜

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Parlay Xは企業テレフォニーとNGNの架け橋

 これから数年かけて、IP-PBX/UC業界は次世代システム(SOTAs)に移ってゆくことになるだろう。と同時に、NGNに結びついて行くだろう。

 先ほど、IP-PBX業界はWebサービスやSOAへの対応が遅れたと書いたが、実際には2000年初頭あたりから欧州のECMA(European Computer Manufacturers Association)を軸にWebサービス・インタフェースの規格化が進められてきた。2006年12月に発表されたECMA-323規格(4th edition)は、高度なXMLやWebサービスへの対応が可能なテレフォニー・インタフェースで、Avaya社やSiemens社などが実装を進めている。

 一方、最近注目を浴びているのはParlay Groupの規格だ。通信系APIの標準化を進めるParlay Groupは、ETSIや3GPPと言った規格団体と連携しながら、Webサービスのインタフェース「Parlay API」を整備してきた。このParlay APIは多彩な機能を誇るが複雑で重いため、同グループは簡易版とも言えるParlay Xインタフェースを2003年5月に発表している。また、2006年12月に最新版Ver.2.1も発表され、British Telecom社やKorea Telecom社、Sprint Nextel社などの電話事業者が対応を進めている。

 ご承知のように、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)傘下のTISPANはNGN規格の主要団体であり、3GPP(Third Generation Partnership Project)もNGN規格で重要な役割を担っている。つまり、SOTAsとして重視されているParlay Xは、電話事業者が整備を進めているNGNと企業テレフォニーを結びつける架け橋と期待されている。

 では、企業テレフォニーとNGNが結びつくと、何が起こるのだろうか。まず、電話会社が持っている広域ネットワークと多彩な機能を企業ネットワークから利用できることが最大の魅力と言える。そのためには、企業ネットワーク内にキャリア・サービス・デリバリー・プラットフォーム(CSDP)を設置する必要がある。具体的にはIP-PBX機能としてCSDP搭載され、このインタフェースを通してNGNの様々な機能を利用する。

次世代テレフォニーとNGNの融合

 たとえば、現在は企業内ネットワークだけに限定されているプレゼンス情報を電話会社が運営する全国ベースの携帯電話網に拡大することができるだろう。社員に携帯電話を持たせていれば、社外であれ従業員が「どこにいるか」、「通話可能か」がユニバーサル・メッセージング画面で一目瞭然となる。物流事業者は、トラックの位置を簡単に把握できるようになるし、タクシー会社は、配車予定の車がどこにいるかを顧客のコンピュータ上に示すこともできる。このように通信事業者は、通話だけでなく位置情報や相手の通話可能性などをサービスとして提供できる。

 そのほか、会社のユニファイド・メッセージング・システムを使って、自宅に掛かってくる電話を会社や携帯、出先などに転送することもでき、IPTV網と企業システムを結びつければ、自宅のIP-STBを使ってビデオ会議もできるだろう。電話局の認証管理システムを連動させれば、人事担当者の自宅からだけ人事システムにアクセスできるし、電話番号に電子メールを打てば、電話局で音声に変換して伝えるサービスなども可能だ。アプリケーション・プロバイダーやIP-PBXベンダーは、NGNに対応することで電話の広域網と高度な機能を組み込んだ新しいサービスを提供できるようになる。




 このようにNGNにおけるアプリケーションと通信の融合は、大きな可能性を秘めている。その一方で、企業テレフォニー自体も、NGNを利用できるだけの環境を整える必要もある。本稿で紹介したように、企業コミュニケーション、特にIP-PBX業界におけるSOTA整備はようやく始まったところだ。つまり、NGNのミッシング・リングをなくすためには、通信事業者のネットワーク整備だけでなく、大手PBXベンダーやアプリケーション・ベンダーの積極的なサービス開発・機能実装が不可欠と言えそうだ。

(2007年9月10日公開)



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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。



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