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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第37回 −

これから5年はエンタープライズ2.0時代
企業ネットワークの知的生産性を高めるツールとは

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 企業コミュニケーションの分野では、グループウェアやユニファイド・メッセージング、企業ポータルなど様々なツールがブームを織りなしながら進化を続けてきた。その新たな仲間として『エンタープライズ2.0』が、いま注目を浴び始めている。シスコ・システムズのジョン・チェンバース会長は最近、インタロップやネクストコム(1)などの基調講演で「これからの企業システムは『コラボレーションとウェブ2.0』を軸に革新が進む」と、その重要性を繰り返している。その言葉通り、米国では企業内ウェブ2.0ツールの具体的な導入事例もよく聞かれるようになってきた。では、エンタープライズ2.0は、なにが従来の企業コミュニケーション・ツールと違うのか。今回は、米国の現状を追いながらエンタープライズ2.0の将来について考えてみたい。



企業システムとウェブ2.0

Interop Las Vegas 2007で、エンタープライズ2.0の重要性を指摘するシスコ・システムズのジョン・チェンバース会長(撮影:筆者)

Interop Las Vegas 2007で、
エンタープライズ2.0の重要性を指摘する
シスコ・システムズのジョン・チェンバース会長
(撮影:筆者)

 電子メールやインスタント・メッセージ、企業ポータルにユニファイド・メッセージングなど、企業コミュニケーション分野にはすでに多くのツールがある。にも関わらず、なぜ米国企業はエンタープライズ2.0(以下、E2.0と略称)に注目するのだろうか。また、そもそもE2.0とは、どのようなツールを指すのだろうか。

 E2.0の定義やツール群については、米国でも様々な意見(2)がある。そこでE2.0ツールの変遷から話を始めたい

 まず、ウェブ2.0が大きく注目を浴びた2005年前後は、E2.0ツールの主役として『企業ブログ』が持て囃された。特に、更新情報を希望者に自動的に知らせるRSS機能は、情報配信の新しい手法としてブログ・ブームの推進役となり、NewsGator Technologies社やKnowNow社、Traction Software社(3)などのRSSベンチャーが次々と生まれた。

2005年1月当時のブログ普及状況

出典:調査団体"the Pew Internet & American Life Project"

 この企業ブログは、社内における情報共有の新しいあり方として期待されIBMなどを筆頭に広くが普及した。そのほか、RSSマーケティングとして、ニッチ・ユーザーに訴求する営業ツールとしても活用され、インテルやサン・マイクロシステムなどがRSSによる情報配信を進め、現在では、多くの企業で製品や技術の紹介役としてブログ/RSSが普及した。

広義のエンタープライズ2.0論者として知られているロッド・ブースバイ氏 (撮影:筆者)

広義のエンタープライズ2.0論者として
知られているロッド・ブースバイ氏
(撮影:筆者)

 その後、ブログ一辺倒の立場から、E2.0をもっと広くとらえる解釈が広まる。これは企業向けブログ(blogs)、ウィキ(wiki)、そしてマッシュアップ(Mash-ups)などをすべて含む。インターネット上で広がったウェブ2.0の長所を企業ネットワークにも導入するという考え方で、ウェブ2.0型ネットワーク・アプリケーションを導入することで、企業内でもネットワーク効果(4)を生み出そうという発想だ。(ネットワーク効果については、下の「ウェブ2.0に関する諸元」を参照)

 E2.0のプロモーターとして知られているロッド・ブースバイ(Rod Boothby)氏やWeb2.0ジャーナルのディオン・ヒンチクリフィ(Dion Hinchcliffe)氏は、こうした広義の立場を取っている。ただ、こうした広義の立場はウェブ2.0をプロモーションするために、やや誇大にその効果を唱える傾向がある。

ウェブ2.0に関する諸元

出典:筆者作成




(1)いずれも米国で開催される大手展示会で、インタロップは企業ネットワーク系、ネクストコムは通信機器系。

(2)マイ・スペースのようなソーシャル・ネットワーキング・サイトもウェブ2.0効果と呼ばれE2.0議論に登場するが、論旨をすっきりとさせるため、本稿ではツールをベースに分析を進めてゆく。また、ツールについてもブログ(weblogs)、ソーシャル・ブックマーキング、Wiki、ポッドキャスト、RSSフィード、ソーシャル・ソフトウェア、Web APIsなど色々あるが、本稿では、重要なブログ、Wiki、WebAPIsに絞って考察した。

(3)NewsGator Technologies社とKnowNow社は、現在も企業向けRSS製品を販売している。一方、Traction Software社はPDFマネージメント・ソフト販売へと移行した。

(4)このネットワーク効果は、ティム・オレーリー氏の解釈。ウェブ2.0に批判的な意見では、このネットワーク効果という考え方にも異論があり、一般的に認知された概念とは言い難い。



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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。



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