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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第36回 −

ブログ、SNSそしてユーチューブ
加速するオンライン選挙戦と米国の大統領選挙

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 インターネット大国の米国では、2008年末の大統領選挙を前に、早くもオンライン選挙戦が熱気を帯びている。大手メディアを尻目に、有名議員がつぎつぎとユーチューブで大統領選挙の立候補を表明する一方、オンラインを駆使して1週間で1億円を超える献金を集める議員もいる。ポリティカル・ブログが影響力を拡大し、各候補はSNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)を駆使して支持者との交流に奔走する。記録破りの金権選挙が予想される2008年プレジデント・レースは、オンライン選挙戦から始まろうとしている。

 まず簡単に、2008年大統領選の現状を見てみよう。

 大統領レースは大きく各党の"統一候補選び"と"本戦"の2段階に分かれ、今年は共和党と民主党がそれぞれ統一候補を選ぶ、準備段階にあたる。候補者を見ると、共和党は911同時テロ事件の処理で敏腕を発揮したルディー・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)元ニューヨーク市長や米海軍のベテラン(退役軍人)として有名なジョン・マッケン(John McCain)議員など9名の候補者が顔を並べている。1952年以来、プレジデント・レースでは副大統領が次期大統領候補として戦ってきた。しかし、2008年は、チェーニー副大統領が出馬しないため、この慣例を破る"オープン・レース"(両党とも新候補を立てる)となっており、共和党の統一候補選でも波乱(1)が予想される。

主要候補者の一覧とホームページ

ヒラリー・クリントン議員のホームページ

ヒラリー・クリントン議員のホームページ

 一方、8年ぶりに大統領の座をねらう民主党は、2004年の大統領選で副大統領候補をつとめたジョン・エドワーズ(John Edwards)上院議員など8名が立候補しているが、話題はヒラリー・クリントン(クリントン元大統領の妻)とバラック・オバマの両上院議員だ。ビル・クリントン大統領が引退して以来、ヒラリー議員は大統領への道を突き進んできた。大統領になるためには、どんな労もいとわない彼女の姿を、まわりは「Programmed (president) Candidate」(宿命の大統領候補)と評している。

 たとえば、ビル・クリントン氏のモニカ・ルインスキー不倫問題で、普通の米国女性なら離縁を選択するところだろうが、彼女は夫をサポートし続けている。これは「政治的に夫を利用するため不倫も無視する権力欲の強い性格」という批判をうけた。また、2000年には、引退を表明したダニエル・パトリック上院議員(NY選出)の後釜として上院議員選挙にのぞむため、多くの支持者を持つ古巣のアンカーソーを後にして、さっさとニューヨーク州へ引っ越している。



バラク・オバマ議員のホームページ

バラク・オバマ議員のホームページ

 このヒラリー議員の前に、忽然(こつぜん)と立ちはだかっているのがイリノイ出身のオバマ議員だ。現在唯一の黒人上院議員として活動する同氏は、2004年の民主党党大会で基調講演をおこない大きな注目をあびた。ブッシュ大統領のイラク戦争に批判的で、即時終結(撤退)を主張する一方、健康医療改革などに積極的だ。従来の黒人ポリティシャン(政治家)は、とかく人種問題をテコに政界を渡り歩くイメージがある。しかし、オバマ氏は、そうした色がなく、米国市民の団結を主張するオープンな人柄が人気を集めている。


 注目される理由は、ヒラリー議員が当選すれば初の女性大統領、オバマ議員が選ばれれば初の黒人大統領というだけでなく、両者のイメージが好対照を示しているからだ。「宿命の大統領候補」と評され、権謀術数にたけた政治家色がつきまとうヒラリー議員に対し、オバマ氏はオープンで率直、クリーンなイメージが新鮮さを呼び急速に人気を集めているからだ。こうして民主党は、ヒラリー対オバマという予想外の出だしで統一候補戦が動いている。




(1)共和党の候補を悩ませるのは、イラク戦争の戦後処理と撤退問題だ。ブッシュ大統領の人気凋落はこの問題が大きく、民主党は反戦・即時撤退で大統領選を戦おうとしている。反戦・即時撤退を唱えなければ大統領選に勝てないと判断すれば、共和党候補もそうした主張をしないわけにはゆかない。現在は、共和党支持層の顔色をうかがいながら、各候補が厳しい駆け引きを繰り返している。


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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。



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