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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第28回 −

はたして日本は世界の最先端を走っているのか
日米比較によるNTTの次世代ネットワークを分析する(前編)

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 7月、NTT(日本電信電話株式会社)は "次世代ネットワークのフィールド・トライアル"を発表した。米国では、経済紙を中心に多くのメディアが取り上げたほか、NTTの調達に関心を示す米国の機器業界を狙って、わざわざ日本への取材をおこなう業界誌もあらわれた。次世代ネットワーク(NGN)といえば、欧州ではBT(ブリティッシュ・テレコム)がいち早く「フュージョン」というNGNを発表し、サービスを開始している。世界各地ではIP電話やIPTV、ウェブ・サービスなど成長著しい新サービスに対応してNGNの模索が始まっている。一方、米国の大手電話会社も、放送業界への参入を切っ掛けにネットワークへの投資を強化している。しかし、日米を比較するとその方向性や狙いは大きく違っている。NTTのNGNを中心に日米を比較しながら、多様化する次世代ネットワークの動きを2回にわたって追ってみたい。

統合型のサービス環境をつくる

 次世代ネットワークとは、基本的にどのようなものだろうか。ご承知のように、近年の通信業界はインターネットを契機に大きく変わった。家庭向けでは、ホームページや電子メール、ネット電話やインターネット放送(IP網を使った放送サービス)、携帯放送などが普及するとともに、企業ではVPN(仮想専用線)、広域イーサ、モバイル・アプリケーションなどの需要が高まった。

 ところが、従来の通信システムは電話網、データ網、放送網など、それぞれのサービスにあわせた独自の通信手順と機器を使って構築されてきた。それはボーリング場、バスケットボール場、テニスコートなど、専用の施設でそれぞれのスポーツ・イベントを楽しむようなものだ。ところがインターネットは違った。それは多目的広場のようなもので、ある時は野球グラウンドになり、ある時はテニスコートを作って楽しむ。しかも、テニスコートでローラースケートを興じるといった新種のゲームさえ出現する。

 過去10年ほどの間、大手電話会社は徐々にインターネット型の統合サービス環境(多目的広場)を構築してきた。とはいえ、それは専用施設が立ち並ぶなかで"空き地"を見つけては多目的広場を増築するような状況だった。複合イベントを望むユーザーにとっては「なんとか遊べるが、けっして居心地は良くない」環境といえる。

 NGNと呼ばれる一連のプロジェクトは、網の根本(コア・ネットワーク)でIPを採用することが基本(IPネイティブ)となる。つまり、多目的広場をイベント運営の基本に置き、専用施設は随時取り壊してゆく。こうしてユーザーに「居心地良いイベント環境」を提供すると同時に、専用施設との併用で生まれていた無駄をなくし、安いコストで質の高いサービスを提供する。この点では、日米欧の主要通信事業者は足並みがそろっている。

 ちなみに、同じ多目的広場でもインターネットは誰でも利用できる公共タイプであり、悪戯小僧が入ってきて悪さをする。一方、NTTが提供するNGNはインターネットと同じIPという言語を使うが、私設のイベント会場にあたる。もちろん、より安全で効率が良い代わりに、入退場や利用ルールは厳密に管理される。


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