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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第17回 −

トラフィック・ビジネスの新世界を切り開く
グーグルの狙う新ビジネス・モデルを探る

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グーグルの基本戦略は、対象拡大と高付加価値

 このようにトラフィック・ビジネスは脱ポータルへと動き始めているが、サーチ・マーケティング・モデルは、まだ幼少期にすぎない。また、こうして歴史的な流れから分析するとグーグルは、ナビゲーション・モデルの再開発を目指しているようにも見える。

 グーグルの基本戦略は“検索対象の拡大”と検索の“高付加価値化”の2本柱からできている。対象の拡大ではホームページからビデオや地図などに対象を広げるだけでなく、ブログ・サーチ、カタログス(通販カタログの検索)、フルーグル(ショッピング検索)、ユニバーシティー・サーチ(教育機関に特化した検索)など対象の細分化も急速に進んでいる。

 また、検索の高付加価値も豊富だ。キーワードを登録するとニュースがでる毎にメールで通知してくれるグーグル・アラーツ、携帯から検索できるグーグル・モバイル、検索画面をカスタマイズできるグーグル・パーソナライズなど次々と新たなツールを提供している。

 しかし、グーグルを追って米国では次世代検索エンジンの研究開発が活発化している。グーグルが力を入れている対象の拡大と付加価値化は、こうした次世代検索エンジンの主な研究対象で、今後、この分野は競争が激しくなるだろう。最後の次世代検索エンジンの動きについて、簡単に触れてみよう。

 次世代検索エンジンは、ナチュラル・サーチ、メタ・サーチ、ディスクトップ・サーチ/ツール・バー、ショッピング・サーチ、画像サーチなど研究対象は広いが、ここではナチュラル・サーチ周辺に焦点を絞ってみたい。

 検索基本技術は、キーワードの出現回数からランクを決めるtf-idf法から、リンクの数で決めるリンク解析法へと発展してきた。このリンク解析法でトップを走るのがグーグルで、様々な工夫を施して希望するサイトをいち早く表示できるようにした。この基本検索技術で注目したいのが、MIT(マサチューセッツ工科大学)で研究中のパワースコゥトとレティージアだ。両者はリコネッサンス技術(Reconnaissance Agents)を基本としており、前者がインターネット全体を対象にした検索、後者がローカルの検索を狙っている。

 tf -idf法もリンク解析法も、基本的には検索ロボットで集めた情報(ウェブ、ビデオなど)を分析して効率的な表示を目指している。一方、パワースコゥトとレティージアは、ユーザーが“どのような環境で、どのような検索を行っているか”と言う、利用者側の情報を利用しながら検索結果の向上を目指す。たとえば、パワースコゥトでは利用者の閲覧した情報を蓄積(プロファイルの作成)して、それを元に推奨すべきホーム・ページのリストアップを行う。一方、レティージアでは、日頃作成するドキュメントや閲覧内容などを蓄積して、適切な検索結果を導こうとしている。

 一方、検索結果の表示方法を改善する研究も活発だ。検索対象を絞り込んで効率化を狙う“ソースの絞り込み”は多数あるが、グーグル・スカラー(教育・研究機関だけ)やアマゾンが提供するa9(書籍だけ)、ノーザン・ライト(Northern Light、www.northernlight.com)、ブレインブーストなどが有名だ。また、結果のカスタマイズ表示は a9とウジコ、スナップ、テオマなどが、それぞれ工夫を凝らしている。そのほか、サーフワックス(SerfWax)やa9はクリックする前に検索結果をプレビューできる機能を提供している。バックグラウンドで似たようなサイトを探すサービスでは、ワトソン(Watson)やブリンクスがある。

 検索結果を同じ分野にまとめて表示するクラスター表示技術を注目を集めている。ビビシモは、クラスター技術をドグパイル(Dogpile)やメタクロゥラー(Metacrawler)、AOLサーチ(http://clusty.com)などに提供している。また、ムーターもクラスター表示では有名だ。

 このようにサーチ技術の開発競争は、激しさを増している。これに対抗するように、グーグルはサーチ関連技術の拡大およびサービス開発に力を注いでいる。9 月末、同社は、NASA(米航空宇宙局)と共同研究契約を結んだ。同契約には、衛星写真などで利用される大規模データ処理(large-scale data management)や超分散コンピューティング(massively distributed computing)、バイオ・インフォ・ナノ融合(bio-info-nao convergence)などのテーマが並んでいる。こうした巨大科学技術を利用することで、他社が追従できない検索対象(たとえば人体や医療、材料工学など)の拡大や高度なビジュアライゼーション(可視化技術)をグーグルは狙っている。



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執筆者 : 小池 良次(こいけ りょうじ)
京都外国語大学卒業後、ブラジルのサンパウロ新聞社に入社、社会面・経済面を担当。その後、帰国し民間調査会社に就職、リサーチャーとして技術動向調査、技術出版など300プロジェクト以上を企画運営する。



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