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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第8回 −

BPM業界を中心に淘汰がすすむ中小ベンダー
企業ITシステムの変化とインテグレーション業界の展望

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 米国の企業アプリケーション分野、特にインテグレーション・ベンダー業界で資金調達やM&A(企業買収・合併)が沸騰している。オラクルによるピープルソフト買収(2004年12月)は別格として、IBMによるVenetica社(同8月)やAlphablox社(同7月)の買収など、同分野での買収は昨年だけで約40件にものぼっている。このように大手から中小まで広がったインテグレーション・ベンダーの再編劇は、米国企業のIT投資が回復してきたこともあるが、Webサービスなどの新技術による世代交代が急速に進んでいることを示している。今回は、インテグレーション業界に焦点を当てて、再編の動きを分析してみよう。

M&A、資金調達が活発化する要因

 インテグレーション業界はM&Aだけが活発なわけではない。その一方では個別に投資家から資金を集めるプライベート・ファイナンス(私的資金調達)も動いている。大手i2テクノロジーズ社の1億2000万ドルは別格だが、CreekPath Systems社(ストレージ・ネットワークの管理システム)が2200万ドルの資金調達に成功するなど、2004年だけで大小約25件ほどのプライベート・ファイナンスが成立している。このようにM&Aや資金調達の活発化は、いったい何が原因だろうか。

この活発化は、次のような要因があげられる

・ WebサービスやSOAをベースとしたサービス革命が進んでいる。
・ 多種多様なミドル・ベンダーがよく似たソリューションやシステムを提供している。
・ 企業ユーザーは大型・長期のIT投資を嫌い、部分限定・集中導入によるROI(投資対効果)を重視している。
・ 種法的規制に対応するために、情報管理システムを手直しする需要がある

 最初のサービス革命は、このコラムでも既に紹介したのでご存じの方が多いだろう。現在の企業システムにおいて大きな課題は、個別アプリケーションの機能をうまく共有しながら、全社あるいは取引先を含めた『機動力と柔軟性のあるITシステム』を構築することにある。見方を変えれば、1980年代に始まった ERP(Enterprise Resource Planning)の導入や1990年代に出現したCRM(Customer Relationship Management)のように、企業が「大型単機能アプリケーション」を導入するブームは終わったと言える。

 最近は逆に、ECM(Enterprise Contents Management)やEAI(Enterprise Application Integration)、EDI(Enterprise Data Integration)、BPM(Business Process Management)、BAM(Business Activity Monitoring)と言ったインテグレーション関連がソフトウェア・ビジネスにおいて大きな比重を占めるようになった。この動きは、もちろんWS (Web Services)やSOA(Service Oriented Architecture)、BPM、ESB(Enterprise Service Bus)など『サービスと言う作業単位で業務処理やアプリケーション間通信を行う』動きと密接につながっている。つまり、アプリケーションを密に結合する従来のITシステムから、状況に応じて関係を結ぶ「粗結合型」のITシステムへと徐々に企業が移行しているからだ。

 一方、このサービスを軸とする技術革新にともない、近年、多くのソフトベンチャーが生まれている。ところが、1990年代と違い現在の企業システム市場は勢いがない。にもかかわらず、サービス革命を背景に新興ソフト・ベンダーが増えるため、インテグレーション関連ではベンダーが過剰状態になっている。また、似たようなアプローチを展開する多数のベンダーがいるため、その評価や選択に時間を取られ、混乱をきたしている。その一方で、既存大手が新興ベンダーを買いあさって、製品やサービスの拡大を狙う動きも活発化している。これが最近のM&Aとプライベート・ファイナンス活発化の直接的な原因と言える。
 ベンダーの乱立を生むもう一つの理由として注目されるのは、SOX(Sarbanes Oxley、読みはソックス)法やHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act、読みはヒパー)法の影響だ。これは米国特有の原因と言えるが、たとえばSOXは、投資家への公平な情報公開を目指し、市場価格7500万ドル以上の上場企業に対して社内書類の管理や処理手順の厳格化、的確な情報開示を求めている。一方、HIPAAは企業に対して、従業員の転職に伴う「健康保険の移行処理」を明確にする義務などを含んでいる。そのほかに「USA Patriot Act」や「SEC Rules 17a-4」なども、企業の業務システムに関係した法律だ。いずれの規制も、迅速で明確な文書・業務処理を求める内容で、そのためECMやBAMなどのシステム需要につながっている。


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