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小池良次 米国発、ITトレンド

− 第7回 −

帰ってきたM&Aマニア達
米通信業界の合併・買収ブームが復活のきざし

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 1月末、SBCコミュニケーションズが昔の親会社AT&Tを買収した。その2週間後、今度はベライゾン・コミュニケーションズが長距離電話大手のMCI買収を発表した。MCI買収は、その後クエスト・コミュニケーションとの争奪戦にもつれ込んでいる。昨年は、携帯業界2位のシンギュラーが AT&Tワイヤレスの買収を行ったほか、通信機器大手のシスコ・システムズはピーキューブ(P-Cube)やネットソルブ(NetSolve)を買収するなど、通信業界ではM&A(Merger and Acquisition、買収・合併)ブームが復活している。今回は、通信業界のM&Aマニア達に焦点を当て、最近のブーム復活を分析してみたい。

シリコンバレーの買収屋、シスコ・システムズ

 コンピュータと並んで、米国の通信業界は「M&A好き」として知られている。とはいえ、昨年までは同業界が不振に悩んでいたことや先行き不透明感が強かったこともあって、M&Aは下火となっていた。もちろん、一口にM&Aと言っても多種多様で、不況に強いタイプもある。それが、通信機器業界で日常茶飯事のごとく行われている「製品シリーズを充実させるため」の補完型M&Aだ。

 たとえばシエナ(Ciena)社は、昨年5月に7590万ドル(約77億円)でカテナ・ネットワークスを、241万ドル(約24億円)でインターネット・フォトニックスを相次いで買収した。シエナと言えば、光通信機器の老舗として有名で、最近では国防総省の次世代ネットワーク・プロジェクトを受注している。しかし、光通信業界は厳しい低迷期にあり、シエナは新分野への進出を余儀なくされていた。このように事業多角化を狙ったM&Aは、通信不況の時期でも、数は減ったが続いている。

 この事業多角化を狙う買収では、シスコ・システムズが長年シリコンバレーの「横綱」を自認している。ルータ/スイッチ最大手の同社は、ストレージ(外部記憶装置)、光通信機器、VoIP電話、ワイヤレス、セキュリティ、ホームネットワークの6分野を多角化の方向と定め、2004年は12社の企業を買収している。これは2000年の23社には及ばないものの、ここ3年では最高の買収数だ。しかも、ネットワーク・マネージメント分野でNetSolve (9月、同1億2850万ドル)、Perfigo(10月、7400万ドル)、Jahi Networks(11月、買収額1600万ドル)を立て続けに買収したほか、セキュリティーではTwingo Systems(3月)、Riverhead Networks(3月)を買収するなど、その買収戦略は理路整然としている。

シスコシステムズのM&A件数

 シリコンバレーは「インナーサークル(内輪)で動いている」と言われるが、シスコの買収はまさに、それを如実に示している。遠いところにある企業は、買収後に事業を吸収(人材や調達、生産などの統合)するのに時間がかかるため、買収対象は、ほとんどベイエリア(サンフランシスコからサンノゼまでの湾岸地域)の企業だ。シスコの買収専門部隊は半年ほどで買収企業の製品や人材を吸収し、シスコの販売チャンネルに乗せると言うスピーディーさを実現している。もちろん、ベイエリアに立地するベンチャー企業のほとんどは、大手企業に「高く」買収されるのが目標と言われており、まさに内輪で売ったり買ったりを繰り返している。


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