経営戦略とサービス指向アーキテクチャ
ガートナージャパン株式会社
リサーチ アプリケーションズ
SOA&Webサービス担当 リサーチ ディレクター
飯島 公彦 氏
いよいよ実装の段階に入ってきたSOA。成功のポイントは、業務の視点からITアーキテクチャを考えることにあります。SOAの導入は、「企業の課題を可視化」「ビジネス戦略を遂行」する統合プラットフォームをつくることでもあり、導入企業とそうでない企業の間に将来大きな差が生まれることが予想されます。ITのみの問題ではなく、ビジネスマターであるSOA。情報システム部門の役割とITベンダの役割も大きく変わり、SOAに取り組む際は、企業側の問題点明確化と工夫はもとより、ITベンダ選びも非常に重要です。
言葉の定義の段階から実装フェーズへ

ガートナージャパン株式会社
リサーチ アプリケーションズ
SOA&Webサービス担当 リサーチ ディレクター
飯島 公彦 氏
日本におけるSOAの市場動向をみると、2005年まではIT部門を中心に“SOAとは何か”という理解が深まる段階でした。それが2006年になって“実際にやっていこう”という実装の段階に入ってきたと感じています。
日本の企業でお話を伺っているところでは、SOAの導入には、次の3つのパターンがみられます。
(1) 業務視点で情報システムをつくる
トップダウンで業務改革を推進するケースで、業務プロセスのスピード化、可視化、簡素化を図るために情報システムを活用する動きです。企業がパッケージアプリケーションの利用経験を踏まえて、業務視点でアプリケーションをつくることの大切さへの理解を深めたことも大きいと考えています。たとえば、製造業の企業ではコスト削減だけでなく、ムリ・ムダ・ムラをなくすことやタイム・ツー・マーケットのスピードアップなどがより重要なテーマになっています。そして、この取り組みを深めていくと、業務内容に応じた標準アプリケーション(モジュール)を定め、それら標準アプリケーション(モジュール)を組み合わせて企業全体のシステムをつくるという考え方につながります。
(2) IT視点で全体最適を図る
現在の企業のシステムは、業務に必要な機能を追加するために継ぎ足しの繰り返しでつくられてきた結果、大変複雑で全体像が見えにくくなっています(あるいは、当初と全く異なる形に変貌してしまっています)。いわば、地図を持たずに航海しているようなもので、企業全体の情報システムをどうしていくのかという、ブループリント(青写真)を(改めて)持つ必要があります。そして、システム全体を見やすくするとともに、管理しやすくするためには、全体最適化されたIT基盤が重要になります。具体的には、ESB(Enterprise Service Bus)などを使って業務プロセスやシステムをつなぐ基盤の整備をする、といった進め方になります。
(3) 分散化している資産を統合利用する
従来、業務システムが個別につくられ、またそれぞれの業務システムは個別にデータを持ってきたため、企業のなかのデータは分散して存在しています。その結果、マスタが複雑化し、顧客情報などがビジネス部門ごとに散在するといったことが多くの企業で見受けられます。統合を図ろうにも、物理的なデータ統合は容易でない場合もあり、そこで例えばデータ層をサービス化して、(異なる複数の)データベースに対するアクセス複雑性の吸収を行いアプリケーションで共通に利用できるようにするという方法をとります。
【コラム】
アプローチにはスコープの決め方が大切
SOAの導入においては、スコープ(範囲)をどのように決めるかが重要です。










