IT基盤最適化を基本から考える
都市計画に似ているIT基盤最適化作業のポイント
IT基盤の最適化作業は大都市の都市計画にたとえることができます(図2参照)。都市計画が適切に行わなければ住みやすい町を作ることができないのと同様、IT基盤が最適化されていなければ効率的な情報システムの構築は困難になります。

IT基盤最適化と都市計画(図2)
第一に、IT基盤の最適化作業では都市計画と同様に、その場限りの間に合わせの解決策や特定の部門の都合だけを考えた局所最適化的な解決策ではなく、全体的・長期的視点から見た解決策が求められます。IT基盤は一度構築すれば複数のアプリケーションにおいて長期的に利用される存在です。特定の開発プロジェクトや業務だけを想定した近視眼的なIT基盤設計を行うことは、縦割り型のIT基盤に結びつき、コストや俊敏性の点できわめて不利な環境を生み出してしまいます。これは今日の多くの日本企業が抱えている問題であり、また同時に長期的な都市計画の視点を欠いていた日本の大都市の現況に似ているかもしれません。
第二に、レガシー(既存資産)への考慮が常に必要となるということです。何もなかった埋立地に一から都市を構築する場合は別として、都市計画においてはすべての住宅をつぶして一から再開発することなどできません。同様に、IT基盤設計においても既存資産の存在を常に考慮する必要があります。あまりに老朽化し、メリットよりも問題の方が大きくなってしまった既存資産は撤廃し、一から再構築することが必要なこともあるでしょう。しかし、ビジネスに対して価値を提供している既存資産はできるだけ有効活用していくことがコストや安定稼動の観点から重要です。
次に、『緩やかな標準化』が必要ということです。標準化はサービス・レベルを向上し、コストを削減する上で重要な役割を果たします。しかし、少なくとも中規模以上の企業においてIT基盤をひとつの標準に基づき完全に統一することは非現実的な目標です。これは、あたかも大都市の建物の設計をすべて統一しようとするようなものです。IT基盤の世界でも建築基準法に相当するような最低限の標準化ルールは必要ですが、過剰な標準化を強制することは逆効果であると言えます。
最後に、接続性(コネクティビティ)が重要という点が挙げられます。都市計画において最も重要な点は鉄道や道路などの交通網の整備でしょう。交通網が整備されていない状況では、いかに立派な建物を建てても宝の持ち腐れとなるだけです。同様にIT基盤においても各システムを孤立した状態ではなく、有機的に連携させて稼動させるための仕組みが重要です。特に最近ではこのような有機的連携のための仕組みとして、SOA(サービス指向アーキテクチャ)に注目が集まっています。SOAを適切に活用することは上記のレガシー資産の有効活用にも結びつきます。
集約化も重要なポイント
IT基盤最適化におけるもうひとつの重要なポイントとしては集約化(コンソリデーション)も挙げられます。集約化とは過剰に分散され、ばらばらに管理されてきたIT基盤要素(特にサーバ)を集中的な運用管理へ戻すことです。これは、運用管理コストを削減しTCOの削減に結びつくだけではなく、また、性能、可用性、俊敏性の向上に結びつくことも多いきわめて魅力的なタイプの投資です。別の言い方をすれば、今日の情報システムは本来あるべき姿よりも過剰に分散している傾向が強いということです。IT基盤最適化に取り組む企業が最初に検討すべき案件は(サーバの)集約化であることが多いでしょう。
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最後に、IT基盤最適化のプロセスは一回行えば完了と言うものではない点を強調しておきたいと思います。そもそも情報システムの安定稼動を維持しつつ、IT基盤最適化を行うことは、1回限りのプロジェクトで完了するほど単純ではありません。いくつかのフェーズに分けた段階的なアプローチが必要です。また、技術や経営環境の変化により最適な解決策が変化していくこともあります(もちろん、それを見越した長期的な計画を行うことが必要なのですが、100%確実に未来を予見できるわけではありません)。その意味で、IT基盤最適化の取り組みは、企業の情報システム部門が常に継続的な検討を行っておくべき重要案件と言えるのです。











