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− 第12回 −

電子証明書

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 2001年に電子署名法が制定された。このとき一般企業でも電子証明書を使った取引が盛んになると宣伝されていたが、2004年現在あまりそのような事例は見かけない。数少ない実用例には公的機関が実施する入札への申請や、補助金や助成金の書類の提出を電子メールなどの媒体を使うことでペーパレスに行なえるというものがある程度だ。

 この法律は特に公的機関と一般企業の間の法律ではなかったが、現実的に一般企業間での情報交換に使われることは少ない。その理由は税務などからの要請により最終的に紙による保管が義務づけられていたからだ。見積レベルであれば電子署名は有効かもしれないが、発注書になると結局紙へ出力し、送付するという手順を取らざるをえない。すなわち見積書程度で電子証明書を取得する必要性がある企業はほとんどないだろう。

 しかし「e-文書法」により、事情が変わる可能性がある。2005年から「e-文書法」(正式名称は、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律案」及び「同法施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」)が有効になる。この法律により、一般企業が保管を義務づけられているほとんどの紙書類をスキャナーで取り込み、これに改ざん防止、タイムスタンプ、電子署名を行なうことで紙を保管することと同等の証拠能力を認めたからだ。既存の紙書類を電子化したデータを電子化文書と呼ぶが、そのメリットはコンパクトに保管できるだけではない。閲覧性や検索性が向上し、さらに紙では不可能なバックアップも取ることができる。

 このレベルまで使えるのであれば電子証明書を取得するメリットを感じられる企業は少なくないだろう。またスキャンから保存まで一連で行なうことができるパッケージ商品も増えてきたことで実導入に対するハードルも下がってきている。

 「e-文書法」で電子証明書の導入が進むとして課題はないのだろうか。1つ考えられるのは電子証明書自体の保管問題だ。印鑑は物理的なものであるから、あるべきところになければすぐにわかる。しかし電子証明書はデジタルデータなので、その保管・管理は厳格に行なう必要があるが、マニュアルや教育は容易とはいえない。さらにややこしいのが電子化文書に使う電子証明書は、電子化文書の正当性等は保証するが、内容の是非には関知しない。つまり10万円の領収書の電子化文書に会社の電子証明書で署名がなされているからといって、経費として認められているとか処理されているということとは無関係なのだ。すなわち従来の経理処理フローに電子化文書をうまくミックスしないと、保管効率が向上する以前に非常に使いにくくなる可能性が高い。

 「e-文書法」には電子証明書は欠かせない。しかしそれらを活用できるかどうかは社内のワークフローを適応させることができるかどうかにかかっている。

(中島由弘,2004年12月13日公開)

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