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海外トレンドに見る、RFIDの可能性

− 第14回 −

小池良次レポート Vol.5 B2C利用のカギを握るNFC
「モトローラ社にみるRFID携帯の模索」 (2007年5月7日公開)

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 2006年9月19日、モトローラ社は39億ドル(約4640億円)の巨額でシンボル社を買収し、大きな注目を浴びた。各種無線機器の大手として知られるモトローラ社が、なぜバーコードの最大手シンボル(Symbol Technologies)社を買収したのか。多くのニュースはシンボル社がRFID分野で急速に勢力を伸ばしており、買収によってモトローラ社が同分野への進出を狙ったと報道した。また、シンボル社自身も、RFID分野からモバイル・データ・サービスへの多角化を狙っていたと言う。巨額買収をおこなってまで進出を決意したモトローラは、シンボル社のRFIDをどのように利用しようとしているのだろうか。その回答は、同社の提唱する『M-Commerce Service(MCS)』戦略の中に垣間見ることができる。最終回となる今回は、モトローラのB2C戦略に焦点を当て、大きく広がるRFIDの将来を垣間見てみよう。

シンボル社買収に対する疑問

 バーコード機器のトップ・メーカーとして有名なシンボル社は、2004年にRFIDベンチャーのマトリックス(Matrics)社を買収して同分野に進出した。ちなみに、このマトリックス社買収によりシンボル社はインターメック(Intermec)社と特許紛争で激突し、RFID業界を2分する大騒動に発展した。このことは米国では有名な話だ。紛争の発端は、140件(紛争当時)を越えるRFID特許を持つインターメック社が、2004年6月にマトリックス社を特許侵害で訴えたことに始まる。その後、マトリックス社をシンボル社が買収したため、同訴訟はシンボル社とインターメック社の大手対決 に発展した。これはRFIDの標準化団体EPCグローバルの活動にも影響し、UHF帯第2世代規格の内容に悪影響を与えたと言われている。2006年7月、両社はクロス・ライセンス契約を結び最終的に和解するが、シンボル社のRFID参入は、こうした血みどろの戦いを経ている。(1)

 モトローラは昨年、そうした"複雑な立場にある"シンボル社を39億ドルの巨額で買収した。単純に、RFID市場への参入を狙うにしては、あまりに高い買い物であり、業界ではモトローラが本当に相乗効果を出せるかに疑問を持つ専門家も多かった。

 モトローラといえば、携帯電話端末から警察や消防、航空機などの業務用無線が収益の柱といえる。また、CATV向けのセットトップボックスでも、サイエンティフィック・アトランタと業界を2分する位置にある。これらの分野は、高い技術を提供する代わりに、安定性があり、収益力も高い。つまり、モトローラは "高度な技術で高い収益"を狙うビジネスが得意といえる。もちろん、軍需用の高い製品もあるが、一般的にRFIDはタグ自体が数セントを争う薄利多売の商売といえる。モトローラがウォールマートやターゲットなどの流通大手相手にマスマーケット商売を展開するとは思えない。にもかかわらず、なぜモトローラや流通業界に根を張るシンボル社を買収したか。そうしたところから、シンボル買収にに疑問の声があがった。しかし、モトローラは、ZigBeeやWi-Fi、Bluetooth、NFC(非接触型通信)などを含む広範な携帯コマース戦略『M-Commerce Service(MCS)』を提唱しており、その通りになれば、RFIDやPOS業界に根を張るシンボル社の買収は正しい選択だったと言えるだろう。

モトローラ・シンボル社 諸元

出典:各社資料(すべて買収発表当時)


 (1)その後、シンボル社は2005年3月にインターメック社を訴え返す一方、インターメック社に対し、バーコードの重要部品である「レーザー読み取りエンジン」の供給を停止する強攻策で対抗し、両社の対立はますますエスカレートした。また、EPCグローバルのUHF第2世代タグでは、インターメック社の所有する特許を利用する予定だったが、同社の厳しい特許戦略を前に、同社の特許を回避して規格制定を進め、当初の予定よりも低い機能になったと言われている。


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