− 第10回 −
小池良次レポート Vol.1 市場動向と課題
「ウォルマート呪縛からの脱皮を狙う、米RFID業界」 (2007年3月19日公開)
健全なRFID普及への挑戦
一方、こうした取引先圧力の呪縛はRFID市場の健全な成長を阻害する。本来、流通の合理化メリットをもたらすからこそ、企業はRFIDを導入するのであって、納入先の圧力に頼っていては、広範な普及は期待できないからだ。
米国のRFID業界を見ると、取引先圧力をベースに市場の拡大が進む一方で、逆に「取引先圧力』からの脱皮を狙っている。それは次のような取り組みが活発化しているからだ。
1. 実践的な流通過程の可視化
2. RFIDタグの多様化
3. 個別業界における標準化活動の活発化
4. アイテム・タグ(Item-Level Tagging:ILT)への挑戦
5. B2BからB2Cへの挑戦
これらは、バーコードを上回る応用技術の確立であり、新たな用途開発でもある。一方、日本におけるRFID普及を考える時、こうした試みは重要な示唆を与えてくれるだろう。日本市場では、ウォルマートやDoD(国防総省)のような存在はなく、B2BであれB2Cであれ、RFID本来の優位性を導入企業に納得してもらわなければ、普及しないからだ。
米国のRFID業界が飛躍するためには、この取引先圧力からの脱皮に成功することが必要だ。
さて、次回は米国のRFIDの開発商業化コストを担ってきた航空・軍需産業に焦点をあてて、その動向を追ってみたい。

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