− 第7回 −
ユビキタス医療に向けた医療分野のRFID事情 (2006年9月22日公開)
医療問題の解決策として先進各国が国家プロジェクトとして取り組むEHR(生涯電子カルテ)は、IT化による次世代医療のあるべき姿だ。そのためにも、第 4世代の病院情報システムとなる電子カルテ+ユビキタス環境の構築を急ぐ必要がある。コンピュータと医療のかかわりについて20年以上にわたり研究を重ねてきた東京医科歯科大学情報医科学センター長の田中博氏に、ユビキタス医療の現状と最新の動向について聞いた。
ユビキタス医療が効果を発揮する4つの分野
東京医科歯科大学
情報医科学センター
センター長 教授
田中 博氏
総務省は、今年の4月に医療分野におけるICT(情報通信技術)の利活用を促進する目的で、2005年10月より行ってきた「医療分野におけるICTの利活用に関する検討会」の報告書を公表した。それによると、日本は少子高齢化により医療の社会的役割が大きくなる一方、医療費の増大や医療の安全性、効率性の向上などの様々な課題を抱えている。また、医療現場では患者ニーズの多様化や医療の高度化、専門化が進んだことで、患者中心の高品質かつ効率的な医療サービスの提供が求められ、そのための環境の整備が必要になっている。そして、ICTにはこうした課題解決への貢献が期待されてはいるものの、現状は限定的な範囲での利活用にとどまっているとしている。
同報告書では、ICTを広範囲に活用することで実現される、安心安全な医療の将来像を「ユビキタス健康医療」と定義し、RFIDなどを活用した多方面からの利活用策をとりまとめている。その中で、効果が期待される分野として、医療機関内、災害・救急、地域医療連携、日常生活圏の4つの分野が挙げられている。
同検討会の座長を務める田中博氏は、20年以上も前よりコンピュータと医療について研究を続け、今日の病院情報システムの構築に深くかかわってきた功労者の1人だ。田中氏は、医療のIT化で実現できることについて、医療サービスの質の均質化による「医療の標準化」、個人の特性に適した「個の医療」、いつでもどこでも医療サービスが受けられる「ユビキタス医療」の3つを挙げている。そして、その実現のためにも医療に関するあらゆる情報の集約と蓄積、さらには活用できる仕組み作りが急務であると指摘する。

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