− 第6回 −
手ぶら旅行を可能にする空港手荷物のRFID事情 (2006年9月19日公開)
空港手荷物のRFID利用の分野で、日本の次世代空港システム技術研究組合(ASTREC)の研究成果は、実用段階に最も近い技術レベルを誇っていた。ところが、IATA(国際航空運送協会)内ではASTRECが研究対象としていた13.56MHz帯に代わり、UHF帯を主流とする声が高まっている。ASTRECの水野一男技術部長に、航空分野におけるRFIDの最新動向について聞いた。
世界でも稀有なASTRECの活動
国土交通省所管認可法人
次世代空港システム技術研究組合
技術部長
水野 一男氏
海外を旅行する人にとって、とても便利なサービスがあるのをご存知だろうか。「手ぶらサービス」と呼ばれるこのサービスは、事前に宅配業者が自宅に手荷物を受け取りに来て、旅行者は行く先の空港で手荷物を受け取ることができるというものだ。
既に日本航空と全日空でサービスが始まっているが、そのための取り組みは2001年9月11日に米国で起こった同時多発テロ事件の直後から、国土交通省の調査研究会メンバーの手によって進められてきた。
その背景として、IATA(国際航空運送協会)が推進する渡航手続き簡素化プロジェクト「SPT(Simplifying Passenger Travel)」において、航空輸送事業における旅客への利便性の向上と高度なセキュリティの両立、輸送の定時性、安全性、経済性の確保を実現する試みが各国で始まったことが挙げられる。
日本でも、国土交通省が中心となり2002年度から成田空港で各種の「e-Airport」実証実験が始まった。そして、その活動の中心となっているのが、国土交通省の認可により2003年8月に設立された次世代空港システム技術研究組合(ASTREC)である。国内の空港会社から航空会社、宅配会社、タグ関連企業など54社の企業が参画して各種の実証実験などに取り組んでいる例は、世界的にも珍しい。
航空手荷物の管理については、IATAが定めた規定に基づき、自動認識技術であるバーコードを利用した航空手荷物タグの発行により、人的な仕分けよりも正確で効率的な搬送システムを目指したが、現実には世界の空港におけるバーコード認識率は平均で70%程度にとどまっている。
ASTRECの技術部長である水野一男氏は、その理由を「手荷物は整列した状態で搬送ライン上を流れるわけではなく、バーコードの認識位置は一定ではありません。またバーコードが手荷物の下敷きになることもあり、バーコードの認識条件としては良くありません。また、手荷物の大きさ条件から1mほど離れたところから認識する必要がありますが、これはバーコード機器が認識できる限界の距離でもあったのです」と説明する。
さらには、使用されている手荷物タグの紙質やプリンタ精度といった品質管理も影響する。この点、日本の場合は品質管理により、認識率は90%を超えているという。
IATA統計では、200個に1個の割合で手荷物が紛失または一時的に行方不明になっているという。欧州の空港などでは乗り継ぎも多く、世界的に空港が大型化していることもあり、誤配送の問題は航空業界全体で依然として大きな課題の一つになっている。

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