− 第5回 −
貿易立国シンガポールのRFIDへの取り組み (2006年8月7日公開)
世界に先駆けて実用化したERP
「シンガポールは、世界に先駆けて、日本よりも早くブロードバンドインフラを整備した実績があります。オフィスから家庭まで、マルチメディアサービスの提供を実現させたように、シンガポールの特色の一つには、ITを徹底的に道具として使いこなすことにあります。シンガポールで開発された製品の数は多くはないかもしれませんが、シンガポールが世界に先駆けて実用化したシステムは数多くあります」(山内氏)
その代表例の一つが、日本のETCに相当する電子式の道路料金徴収システムのERP(Electronic Road Pricing System)である。ERPは、日本がETCを導入する以前から日本の技術により開発された世界初の道路料金徴収システムだ。従来、シンガポールでは市街中心地区の渋滞緩和対策として、規制区域外で購入した通行証を自動車のフロントガラスに貼り付ける方法を採用してきた。しかし、運転者にすれば通行証の購入や貼り付けは手間がかかり、規制当局もまた規制区域の入口に監視員を配置するなど不便で非効率なことが多かった。
(参照「Front Line in Asia」第1回)
そこで、シンガポール政府は1990年代の初めから、より効率的な規制の実施と将来の駐車場や高速道路の料金徴収への発展性を持たせるシステムの検討を始めた。それが、日本の企業グループにより、1998年に世界で初めて実用化にされたERPである。
ICカード式のキャッシュカード
そのERPの仕組みとして、RFIDとICカードが利用されている。自動車は規制区域に入るときには、ガントレーと呼ばれる電子ゲートを通過する必要がある。その際に、車載ユニットとガントレーがRFIDにより無線交信を行い、車載ユニットに挿入したICカード式のキャッシュカードから通行料が自動で徴収されることになる。キャッシュカードは郵便局などで購入することができ、残高が少なくなったときには街角にあるATMなどからチャージすることができる。
「シンガポールの渋滞緩和対策は、バンコクやジャカルタのように深刻な渋滞問題が起きたからというわけではありません。外国企業が活動しやすい環境整備の一環として、行っているものです。導入当初は車載ユニットを全車に無料配布し、現在ではすべての新車に標準で搭載されています」(山内氏)。
また、政府が考えていたERPの将来的な発展性についても、現在は空港などの公共施設や商業ビルの駐車場の料金精算にERPと同様のシステムが導入され、利用が始まっている。
ERP

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