第20回
天下の台所・大坂を支えた豪商のベンチャーキャピタル
〜鴻池善右衛門にみる成長力〜

鴻池家は江戸時代初期に大坂を代表する豪商として急成長しました。始祖は山中新六といい、歴代当主は「鴻池善右衛門」を名乗っています(2代目のみ喜右衛門)。
初代善右衛門正成は父・新六とともに酒造業を営み、いまの清酒にあたる「諸白」を製造して評価を獲得しましたが、父の後を継ぐと、江戸・大坂間の物資輸送が活発になったのをみて酒造業を廃業し、海運業に進出して家業をさらに発展させます。
岡山藩の物資運輸を任され、さらに諸藩との関係を築くと貸付も行うようになりましたが、この「大名貸」によって金融業が有利だと悟り、酒造業を廃業して両替屋を開業したのは、正成の大きな功績でした。
2代目に家督を譲った後、鴻池屋は幕府御用の「十人両替」(公認の両替屋十人)に指定され、名実ともに大坂随一の豪商となります。
ベンチャーキャピタルは、返済義務のない出資に見合ったリターンを確保しつつ、ベンチャー企業の経営にも深く関与するものです。つねに財政危機に見舞われていた江戸時代の藩を企業にたとえれば、諸大名に資金を供給した鴻池善右衛門は、まさにベンチャーキャピタル的な存在だったといえましょう。
今回は近代にいたるまで豪商としての地位を保った鴻池家の基礎を築いた善右衛門の事績から、その類まれな成長力の秘密を探っていきます。

(2006年12月11日公開)










