第19回
敬天愛人の信念で幕末維新を動かしたWin-Winの経営戦略
〜西郷隆盛にみる求心力〜

貧しい下級藩士の家に生まれた西郷は、地方役人を務めた後、幕末の薩摩藩を主導した藩主・島津斉彬に異例の抜擢をされて、政治活動に従事しました。斉彬の没後に挫折を味わい、奄美大島に潜居した後、復帰を果たしますが、派閥争いに勝利した藩主・忠義の父・久光に嫌われ、沖永良部島に流されてしまいます。
その後、赦免されて上京した西郷は、坂本龍馬らの仲介で薩長同盟を成立させ、薩摩藩の中心人物として討幕への道をひた走り、大政奉還から王政復古のクーデター、鳥羽・伏見の戦いと激動するなかで活躍、勝海舟との会談で江戸無血開城を成功へ導きました。
明治になってからも、藩政改革を推進しながら新政府を公然と批判して、強い影響力を保った西郷は、征韓論争の結果、要職を退いて鹿児島に帰り、しばらく悠々自適の生活を送ります。しかし、やがて勃発した西南戦争で敗北、鹿児島の城山で自刃しました。
目先の譲歩や敗北にとらわれず、長期的な視点で政治的判断を下すのは、ともすれば理解されがたいものです。それでも西郷は底知れない魅力で数々の難関を乗り切りました。仇敵同士だった薩長同盟の締結や、勝海舟との講和会談などでみせたは座右の銘である「敬天愛人」の現れでもあり、現代でいえばWin−Winの経営戦略になぞらえられるでしょう。
今回は明治維新の原動力となった西郷の生涯から、リーダーに不可欠な求心力とWin−Winの関係における長期的視点の重要性を学んでいきます。

(2006年8月28日公開)









