第30回
石坂泰三の東芝再建物語
〜自分や会社ではなく、つねに日本の行く末を考慮して〜
株式会社東芝 元代表取締役社長 石坂 泰三氏

「石坂さん、東芝の再建を引き受けてくれませんか。あなた以外の人は考えられない」
1948(昭和23)年、夏のある暑い日、石坂泰三は、東芝前社長の津守豊治とメインバンクである帝国銀行頭取の佐藤喜一郎を自宅に迎えていた。東芝といえば、戦前は約80の工場を持ち、従業員数10万を超える日本屈指の大企業。しかし戦災やGHQによる集中排除、そして戦後本格的になった労働運動の煽りを受けて倒産寸前の状態だった。
第一生命社長を辞任して2年、すでに62歳、なかば隠居状態だった石坂は固辞した。周囲もこぞって反対。東芝はもう潰れる企業だ、と。しかし、硬骨漢の石坂はその考えだけには納得がいかなかった。東芝ほどの企業を簡単につぶしてしまって、日本の再建はできるのだろうか…
数日後、石坂は津守を訪ねた。「引き受けさせていただきます」
(2003年9月8日公開)











