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先達に学ぶ決断の時

第26回

御手洗毅のカメラ事業物語
〜患者を見守るように部下の意欲を育てて〜
キヤノン株式会社 元社長 御手洗 毅氏

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キヤノンを世界のカメラメーカーに育て上げ、さらにコピー機をはじめ電子機器メーカーに変身させ、世界にはばたかせた社長、御手洗毅は、一風変わった経営者だった。

カメラの技術者でもなければ、たたき上げの営業でもなく、経営を専門的に学んだこともない。1942(昭和17)年に社長に就任してもなお彼は産婦人科医として腕を振るっていたのだ。

そんな御手洗が“カメラで生きていこう”、と決心したのは、敗戦後、米軍の将校が御手洗のところにカメラを買いに来て、こう言ったときだった。「なんとすばらしいカメラだ。でも日本にこういうものがあっても不思議ではない。なぜなら“ゼロ戦”のような優秀な戦闘機がある国だからだ。その流れを汲む精密工業の中心と言ってもいい高級カメラができるのは不思議ではない」。

こうして御手洗の新たな戦いが始まった。それは経営のプロでなければ、技術にも詳しくない医者であることを自覚しての挑戦だった。

(2003年5月26日公開)

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