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先達に学ぶ決断の時

第12回

井深 大のカラーテレビ開発物語
〜製品の前に創造的な土壌をつくれ〜
ソニー 創業者 井深 大 氏

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ソニーの人々をあっといわせる新商品。それを生み出す技術陣のユニークさは、創業者井深大のイノベーター・スピリッツを受け継ぐものたちとして今さら語るまでもないが、ユニークな技術を製品に、そしてビジネスに結びつけることを可能にしているのは井深がソニーに残したその独特の技術者への接し方だ。それを端的に示したのが最初の挫折を乗り越えたトリニトロンカラーテレビの開発だった。

ソニーはカラーテレビへの進出に出遅れた。1964(昭和39)年の東京オリンピックを目前にした1961(昭和36)年には、日本でも各社こぞってシャドーマスク方式のカラーテレビを発表、売上を伸ばしていた。しかし白黒のマイクロテレビでヒットを放った実績のあるソニーからは何も聞こえてこない。井深のイノベーターとしての誇りがカラーテレビ発表を遅らせていたのだ。故障が多く、白黒よりも暗いと言われていたシャドーマスク方式ではなく、米国で軍事用に開発されたクロマトロン方式のカラーテレビに井深はこだわっていた。

しかしやっと発売したクロマトロン方式は見事な失敗。明るくシャープ、しかし金がかかり量産にも向かず、赤字生産、ソニーの屋台骨をも揺るがしかねなかった。井深は決断する。

「自分が責任を取る」

経営者である前に、根っからの技術者であった井深の責任の取り方は違っていた。

「量産に向いたさらに新しい方式のカラーテレビを独自開発する」

井深は役員会でこう言い切った。そして自らプロジェクトリーダーとして社運をかけたプロジェクトに挑んでいく。

(2002年9月30日公開)

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