小柴昌俊 第1回
物理屋になりたかったんだよ

ノーベル物理学賞をはじめ、数々の素晴らしい賞を受けた小柴昌俊さんは初対面でもすぐに打ち解けてくれる気さくなお人柄です。「若い頃、僕は物理が自分に向いている仕事とは思えなかった」と告白し、「露悪的と言われるかもしれないけれど"動かぬ証拠"もあるのです」と、東大物理学科を卒業した時の成績表を公開しています。
その後小柴さんは基礎科学の素晴らしさに触れ、わからないことがあったり、自分の限界を感じたりすれば進んで専門家の胸に飛び込んで教えを請うだけでなく、思い切って内外に武者修行に出たりします。そしていざとなると、徹底的に考え抜いて知恵を出したり、切羽詰まって短時間で結果を出したりします。
小柴さんは自身の業績や受賞歴に触れて、たくさんの人から助けられたこと、思いがけないほどの幸運に出会えたことを強調されますが、それは小柴さんを映した鏡のように見えます。真理の前にあくまで謙虚、自分の弱点を認め素直に人に尋ねる天性の人懐こさ、追い詰められても底力を見せて苦境を切り抜ける芯の強さが相まったからこそ、17万光年もの距離の超新星からニュートリノがカミオカンデに届いたのでしょう。
(2005年3月22日公開)










