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ニューヨーク発 こんなビジネス、あんなIT

− 第3回 −

メディア界とIT

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TV局

 所謂3大ネットワークを始め多数が存在する大手放送局らだが、インターネットの普及と発達により特に広告収入の面で苦境に立たされつつある状況は、他媒体と大きな違いはない。

 特に素材のデジタル化は不法なコピーを容易とし、様々な方向から放送局の利益を圧縮しつつあるのは言うまでもない。莫大な費用を掛けて製作したコンテンツが、あっという間に、しかもCM枠を削除した状態でネットにアップロードされる現状は、各局共に非常に大きな問題となっている。

 視聴率の高い番組を製作/放送し、そこに組み入れられるCMの視聴を上げることで、クライアントからの収益を得るというのが放送業務の基本的な収支構造だ。しかし莫大な資金を投入したコンテンツだけが二次三次利用される現状では、広告主が出稿を再検討するのはやむを得ない(4)

  局としてはオンエアそのものを視聴してもらう何らかの手法を編み出さねばならず、その為にはインターネットの効率利用の手法を生み出すことは急務だが、現時点ではどこも考えあぐねているといって良い(5)

ロックフェラーセンター前のNBCスタジオ

ロックフェラーセンター前のNBCスタジオ

 またこれは先の新聞社のケースでも同様だが、本来のメディアで概略を伝え、詳細をネットに掲載という手法と、ネットでは詳細を伝えず本来のメディアに集客する手法のどちらがよいのかはどのメディアでも確たる判断はまだ出来ていないようだ。

 またTV局の場合、動画主体である本放送に対し、テキストや静止画を利用することも多くなるネットとの兼ね合いは、各社様々な考えもあり決定打を見いだせていない。

 そしてTV局には新聞社にはない(あるいは少ない)大きな足枷がある。それは放送時間の制限だ。

 コストもしくは収益分岐を無視すればページ数を増やし続けることが可能な新聞社や雑誌社と違い、TV局(とラジオ局)は一日24時間全てCMを流し続けてしまえばそれでもう売るべき広告スペースがなくなってしまう。

 あくまでその収益の大部分を広告収入に頼らざるを得ない放送業務の場合、他媒体のように量を増やすことに制限があるという言うことは大きなものだ。

 一方、IT化の恩恵はこの分野へのアマチュアの進出を促しているとも言える。撮影機材の小型軽量化と低価格化。編集が自宅のPCで可能となったこと等に加え、携帯電話などでも撮影機能が付加されるようになったため、先に挙げたYoutubeのような動画投稿サイトのみならず、大手放送局のニュース映像に一般市民が撮影した動画が採用されることもしばしばだ。

 しかしこれらは、「たまたま居合わせた」場合に撮影されたというケースがほとんどであり、逆に言えば記者会見など、事前に許可や招待が必要なものはもちろん、精緻な撮影や機材が必要な取材へのアマチュアの立ち入りは依然困難なままである。

 その一方、局側はその質に関しては一般のアマチュアなどでは追いつかないレベルに達しているのは他媒体とは大きく異なった部分である。現時点において最も社会的影響を与えることが出来るメディアとしての地位(6)は当分揺るがないだろう。

 結果、YouTubeのような動画中心のコンテンツでさえ、一般のTV放送の一部というものが大半を占めており、この点での優位性は当分揺るがないと考えられる。

 このことが商業放送のコアコンピュタンスの一つであることは明確だ。

 現時点ではネットへの広告出稿がいかに伸びを示していると言っても、電波媒体、特にTVへの出稿には遠く及ばない理由はこういう点にあると見られている。その影響力や認知度の高さなどから、現在ではまだまだネットにおける広告出稿がTVへの出稿の逆風となるところまではなっていないと言う点では、他媒体に対してその力を誇示できていると言えよう。

 この点では取材力/制作力という点でアマチュアが太刀打ちできない新聞社と似た状況にあるとも言え、先の例で挙げたとおり現在の放送事業者が持つ優位点ではあるが、今後徐々にこの差が縮まっていくであろう事もまた避け得ないことだろう。

 ただしインターネット上への広告宣伝活動は、その効果や伝達測定が容易なこともあり、費用対効果の面も含め今後大きく飛躍する可能性は高い。

 新聞や雑誌といった印刷媒体へ徐々に一般個人の進出が始まり、それにつれて商業面でのシフトも明確になりつつあるという流れ、放送業務の分野でも同様となる可能性は高い。

 このようなかつての一部企業による事実上の占有市場は、いまや個人レベルでの参入も可能となりつつある。これこそがメディア界におけるIT化の一番大きな変革ではないかと思う。


(4) 米国では、NBCが放送した北京五輪の開会式は、生放送ではなくほぼ半日遅れての録画放送であった。米国でのプライムタイムに合わせたものだが、その時差の間に他国で放送された開会式の模様が次々とYoutubeなどにアップロードされ続けたが、しかし片端から削除され続けていた。これは放送権利を購入したNBCの依頼によるものだという見方がネットユーザーの間では一般的となっており、それを証明するかのように、NBCの放送以後は削除のペースが一気に落ちた事実がある。

(5) 音楽のプロモーションビデオや一部の広告のように、CMそのものの質を上げそれ自体の視聴を得ようとするやり方は出てきているが、これはその高コストから一般的とはなり得ていない。

(6) このような状況は、政治や選挙においてもテレビへの広告出稿量が支持率に繋がりやすい傾向となっており、資金力が政治力となっていると非難も多い。このような状況は、政治や選挙においてもテレビへの広告出稿量が支持率に繋がりやすい傾向となっており、資金力が政治力となっていると非難も多い。


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