− 第6回 −
米国携帯電話各社の行く末は?
新しい市場へ向けての準備を着々と進める携帯電話キャリア各社
VelvetPuffinやLoopt等、Helio同様SNSという括りからそのユーザー層の切り分けをもくろむMVNO事業者らも、その規模から言うと驚くほど積極的な展開を行っている。HelioはMySpaceとの提携を実現したことで現在もまだ営業をしている数少ない大手MVNOである。またAka Aki、Zyb、Mig33等のように、新しい傾向のサービスを売り物とした携帯電話関連企業も多く出現してきており、その試行錯誤はまだまだ続きそうである。Helioへの出資からEarthlinkは撤退したが、Helioは資金的な不安はないと言う声明を出しているし、他の事業者達も何らかの形で出資者を募っており、資金も豊富に見える。とにかく何らかの指針を見いだすことが彼らの目標の一つであるなら、これらのことも十分理解できるのだ。

Openwave SystemsのWebサイト
また、大手キャリアも、プリペイド事業などだけではなく、各種の新サービス提供会社に資金導入を行うなど、MVNO事業者への荷担も積極的だ。以前の記事でも同じような比喩をしたのだが、現在MVNO関連で安定して売り上げを上げている企業が、SonopiaやOpenwave SystemsのようなMVNOを支援する企業であるという事実は、第4回でもお伝えしたように、やはり金鉱を掘るよりも金鉱掘りにシャベルを売った方が安定したビジネスとして成功を得られるという、成熟産業にありがちな構図になっているのは興味深い。各キャリアがこのような事例を見落とすわけはなく、次世代の事業の中心になる可能性をも踏まえてのマーケティングを行っているのは言うまでもないだろう。
そしてGoogleの携帯電話向けオープンプラットフォーム「Android」と、その実現を目指した世界34社からなるアライアンス「Open Handset Alliance」の発表だ。極端な事例と言って良いとは思うが、例えば独自言語と独自規格で市場が形成されている日本などだと、この発表にはあまり魅力を感じないと思う。多くのアジア諸国は、独自の言語を利用しており、又その言語はそれぞれの国以外では事実上全く利用されていない為だ。これらの言語を使用するためにはハードウェア側の対応も必要であり、これが携帯電話先進国とも言える日本と韓国での事例が即全世界的な傾向とならない理由である。しかし、その目標がさらに広く大きな市場であれば、Googleの施策も理解できようし、またその必然性も見て取れる。IT産業界では次のような言葉が流行る兆しを見せているという。
『次の10年の次の10億人』だ。現在、先進国を中心とするIT産業の恩恵を受けているユーザーがおおよそ10億人。そして今後10年間でアジア諸国を中心として同数のユーザーを開拓するというものだ。もちろん携帯電話市場もここに含まれる。この業界、まだまだ二転も三転もありそうで目が離せない。
最後に
ニューヨークを中心とした米国東海岸から見た現在のアメリカIT事情をお届けしてきたこの連載も、今回で一段落となる。軽い読み物と言うことであまり細かいデータや資料に言及することは避けてきた。ニューヨークという場所は、ことIT分野で言えば西海岸のように技術志向でもなければ、中西部のように産業指向でもなく、いかにしてそれをビジネスに転換するかというマーケティングの要素が強いエリアであることからこのようなものとさせていただいた。しかし注目すべきは何もIT分野だけではない。一般のビジネスおいてもマネジメントや各種のメソッドなどその戦略戦術は大きく変換期を迎えている。社会的に見ても日本に先行したSOX法も気になるところだ。今後も目に付いたことは日々の雑感なども含め、Wisdomブログ「ニューヨーク雑記帖」にて書き綴っていきたいと思っている。記事にするまでもない小さな事も取り上げていくつもりだ。お時間のあるときにでもご閲覧いただければと思う。
最後に、ご感想やご意見を頂きました多くの読者の方々へは深く感謝の意を表したい。ありがとうございました。
(2008年1月21日公開)










