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ニューヨークITトレンド

− 第6回 −

米国携帯電話各社の行く末は?

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マーケットはどこに?

 注目したいキーワードは、「MVNO」と「プリペイド」だ。

■MVNOの現状
繰り返し名前を出してしまうが、鳴り物入りでスタートしたAmp'd Mobileが2007年6月に破綻しただけではなく、巨人ディズニーがスタートさせたMobile ESPNもDisney Mobileもいずれも早期の撤退を余儀なくされている。

HelioのWebサイト

HelioのWebサイト

 しかし、 (iPhoneの出現でいささか影が薄いものの)人気ハードウェアOceanを擁し、SNSのMySpaceと組んだことで若年層に人気の高いHelioや、音楽産業でこれも若い層に知名度の高いVirgin Mobile等はそこそこの人気を保っているようだ。また、日本から進出しているKDDIもMVNO業者の一つであり、最近日本での展開を発表したディズニー・モバイルもまたMVNOである。ディズニーは米国ではMVNOから撤退したが、日本で再度同じことをやろうとしている。一見矛盾があるようにも思えるのだが、実はここに米国携帯電話事業者の思惑を探る、あるヒントが見え隠れするのではないかと筆者は考える。

■プリペイドの現状
一方プリペイド方式は特に地方を中心に順調な売り上げを記録している。筆者が住むニューヨークなど一部の都市圏では、プリペイド方式はその通話料金が比較的高めに設定されていることもあり、多くのユーザーは「可能であれば」一般的な契約形態を選択する。「可能であれば」と書いたのには訳がある。米国では収入や職業など個人の状況によってはクレジットカードの入手やローンの設定等が困難なケースも多く(注1)、携帯電話の契約もこれに類するものの一つである。

 このように、ユーザの置かれる立場から、一般の契約を結ぶことが出来ず、やむなくプリペイドを選択せざるをえないケースも少なくない。これは、多く先に述べたような収入レベルやクレジットカード取得の可否などに関連するので、その分布は都市部よりも地方に偏ったものとなっている。先に述べたように中西部や西海岸限定とも言える狭い範囲を中心として事業を行う携帯電話事業者は多いのだが、これはそのような理由によるものだ。

 しかし一方で「携帯電話」というビジネスと「エリア限定」という側面はいささか親和性が低く、かえって自社の成長を抑制しているかのような印象も受ける。

 「MVNO」と「プリペイド」。この二つのキーワードから推測されることがある。どうも、米国で市場争いをし続けている傍らで、しかしその矛先は、米国外の他のエリアでの将来的な潜在需要に向けてのリサーチも行っているのではないかという邪推である。そしてその矛先とは言うまでもなく中国をはじめとするいくつかのアジア市場である。

 MVNO各企業が、それぞれ独自性を出しながら市場を探る背景には、まだ詳細なマーケティングが行き届かないアジア各国への進出の際の下調べと言う面があるように思える。携帯電話事業の成功要因として、「販売網の充実」「格安な通話料金」さらに「よく知られたブランド名」というのはよく認知されていると思う。しかし、社会背景も思想も宗教も生活慣習も商慣習も全てが異なるアジア諸国、それも複数にまたがる新しい市場を開発したいと思えば、なんとしても的確なビジネス展開による、早期の市場席巻を果たしたいところである。そしてその為の自国内での「疑似マーケティング」を、自国内でのビジネスと並行して行っているのではないかと筆者は推測している。


(注1)例えば日本人の留学生なども、社会保障番号の取得が難しいことから事実上プリペイドを選択しなければならないケースなどもあり、一概に低所得者/定職を持たない層というわけではない。


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