− 第6回 −
米国携帯電話各社の行く末は?

これまで、米国/ニューヨークのITビジネスの現状をお届けしてきたこのレポートだが、第六回目の今回は、最もリクエストの多い携帯電話業界についてお届けする。しかしIT業界の中でも特に動きの激しい携帯電話業界。最近の動向を辿るだけでも大変だ。何よりこの連載は歴史を紐解くことが目的ではない。したがって、詳細な出来事やその経緯の説明は別の場に譲ることとして、今回のレポートではニューヨークというエリアから少しばかり斜めの視点で見た米国携帯電話業界の側面をお伝えしたいと思う。
米国での携帯電話の位置づけ
少なくとも現時点においては、特にそのテクノロジー面や普及度、そしてそれを利用したビジネス範囲の広がり等において、日本の携帯電話市場は米国の比ではないほどの発展を見せている。高機能かつ最新鋭の端末(当然高価だ)が高い普及度を示し、テキストメッセージのやりとりのみならず様々な付帯機能が個人/事業者を問わず高い頻度で利用されているのだ。日本のほかにも、韓国や香港などのいくつかのアジア諸国と、そしてNokiaお膝元の北欧が、携帯電話の分野では逆に異端といえるほどその普及度と先進性が突出している。
一方、米国。読者の方々もこれまでに耳にたこができるほど聞かされてきたことと思うが、米国の携帯電話事情はそのハードウェア面も含め、いささか日本国内の状況とは違った市場が形成されている。電話は固定回線から携帯電話へと変化してきたのだが、米国内における固定電話に対する概念が日本のそれとは違っていたのだから、携帯電話に対する考え方が違うのも当然だ。
そもそも米国内の電話料金は非常に低く設定されており、市内通話は無料というキャリアも多かった。少々昔のことになるが、まだパソコン通信/インターネットにおいて電話回線を利用してのダイアルアップが主流だった頃のこと。日本では電話代の高騰に悩むユーザーが多かったのに比べ、米国では事実上24時間繋ぎっぱなしでコンピュサーブやAOLなどの通信サービスにアクセスしているユーザーが多かったのは、このように電話料金が安価なことに由来するのである。さらにはその他にも見知らぬ他人とのチャットや掲示板でのやりとりを楽しむユーザーが多かったことも挙げられる。文化的にもそのような需要が高かったことは否定できないだろう。
その傾向はICQに代表されるIMやSNSに受け継がれているのだが、携帯電話においても同様の文化が引き継がれており、安価な下位機種にもテキストメッセージ機能は必ず用意されている。その一方で高機能なスマートフォンなどを欲しがる層も多く、要はiPhoneがどうしても欲しいと思う都市部のユーザーから、安価に通話できるだけで構わないと考える人々までが混在するのが米国の携帯電話市場なのである。

Papa John's の携帯電話向けサービス
実際、テキストメッセージの普及度は高く、PCと携帯電話をテキストメッセージで結ぶというサービスを行っているインターネットサイトはいくつもあるし、IM-携帯間における同様のサービスも多い。インターネット経由でのオンラインショッピングではない、テキストメッセージを利用しての購買も今では珍しくはなく、最近では中堅のピザ宅配業者の一つPapa John'sが、携帯からのテキストメッセージで注文を受け始めた。その手軽さから、結構な人気を博しているという。このようにアメリカでは固定電話によるインターネット接続時代から続くテキストメッセージやチャットの文化が根付いており、結果携帯電話利用の成り立ちそのものが日本とは違っている。そんな米国での携帯電話事情ではあるが、最近はさらに異なった方向でのビジネス展開の様を呈してきている。










