− 第5回 −
コミュニティサイトはビジネスとなりうるのか
Shopalize

“Shopalize”はショッピングを切り口にしたコミュニティサイトである。サイトの主旨はこれも他のコミュニティ同様シンプルなもの。その日の自分の買い物をサイトで公開するだけだ。今日どのようなショッピングをしたか、そしてそれがどうだったか、どう感じたかなどを語り合うサイトである。Shopalizeはアメリカで人気のTwitter的なコミュニティサイトであるとも言える。
このサイト、言うまでもなく百貨店などが店頭の目玉商品の選択に利用しているという。どのような人物がどのような購買をし、その満足度や価値観などを赤裸々に語ってくれるのだから、売り手には有り難い話だ。実際デパートなどへこの種のレポートがあがることは少なく、また多くの場合はクレームに関連するケースとなるので、データの基本的な質に偏りが出やすい。しかしこのようにコミュニティサイトという形を取れば、極端な話何の感慨もなくても書き込みをするケースもあり得るわけで、多数の商品を扱う販売業にとっては、このような生のデータを得る機会はこれまでは皆無であったとさえ言えるだろう。
Twitterのように特にガイドラインを定めないまま「何をしているのか?」という緩やかな括りだけでサイトを運営した場合、それはもちろんTwitterの成功を持ち出すまでもなく多くの参加者を集め人気サイトとなる可能性を高めることとなる。しかしながらビジネス上でのマーケティングにおいては、ある程度以上は行動様式や年齢層、収入などの制限を課さないことには有効なマーケティングツールとして機能させることは難しい。Shopalizeは「ショッピング」という誰もが行う単純な行為で括られており、参加者にとってはより参加しやすいサイトであるといえる。
しかし「買い物」という括りだけでは、具体的なマーケティングツールとして成り立たせるのはやはり困難が予想される。しかし同サイトでは、質問という形で購買者へ問いかけを行うことが出来、その後コミュニケーションを取ることも可能だ。もちろん同サイトは、サイト上、もしくはサイトを経由したやりとりの内容を企業に販売していることを謳っているわけではない。しかし、このサイトの参加者の一人が「たまたま」大手流通のマーケターだとしたら、サイトを見た上で他の参加者への質問を同サイトの運営側が妨げることが出来るだろうか?事実筆者はこのサイトのことをアメリカのあるデパートの営業職にある人間から聞いたのである。
Buy Your Friend A Drink
おごられた人は、登録店の中から自由に選べる
Buy Your Friend A Drink
直訳すれば「友人のために一杯おごろう」といったところか。”Buy Your Friend A Drink”のサイト主旨はまさにその通り。知人や友人のためにこのサイトを経由して一杯おごることが出来るのである。その場にいなくても、または後日改めてという場合など色々と活用できそうなサイトである。おごる側にはドリンクの代金と共に僅かな手数料($0.99)の支払いが発生する。
実はこのサイトの開設者スティーブン・コーエン氏はマンハッタンを対岸に臨むニュージャージー州に在住だ。彼は自宅がニュージャージー側にあることから、友人や同僚と一献傾ける機会が少なかったのだが、しかしやはり彼らに一杯おごりたいこともあり、それがこのサイトの開設に結びついたという。バスや電車の時間、家庭の事情などで早く帰らねばならないときでも、感謝の一杯を贈ることが出来れば便利だろうなと思うのは、都会に住む人々なら誰もが考えることだろう。
もちろん実際に出向くレストランやバーは、事前に同サイトに登録をする必要がある(注5)。しかしこの「友人からの一杯」を手にした客がそれだけで終わることは考えにくく、店にとっては願ったり叶ったりだ。そもそも、その最初の一杯でさえも課金されているのであるから店側にとっては何の出費も生じない。価格を抑えるにしても、ニューヨークに限らず、アメリカの多くの飲食店では「ハッピーアワー」といった、格安でビールを提供する時間帯などを設定し集客に努めていることから、特別な負担ということもない。実際に客が足を運んでくれればあとはもちろん店の売り上げ。もし客が来なければ、売ったはずのビールはそのまま店のストックになるだけ、いずれの場合も店側は損はしない。単純だが理にかなったやり方であると思う。
The Lunch Club
このようなコミュニティサイトが利益を上げているのは、やはりニューヨークという大都市を基盤としていることは明白だ。1ドルに満たない手数料は都会の生活者にとっては負担とはならず、それに対するサービスは十分魅力あるものであり、その支出に対する費用対効果を再検討するユーザーはまずいないだろう。ニューヨーク市内では既にThe Lunch Clubのように、逆に店側からのバックマージンという形で、小規模ながらもきちんと収益を上げ続けているコミュニティサイトもある(注6)。都会生活者に絞ったサービスであればまだまだ様々なビジネスモデルが創出されていくことだろう。これは以前Fresh Directの記事でもお伝えした通りである。
注5) 現在ではニューヨーク市内を中心にボストン、果てはロサンゼルスにまで100軒以上の提携店を持つ。
注6) 同サイトは、ランチを一緒に取る相手を捜すサイト。多数のランチパーティーなどを開催し、レストラン側からのバックマージンなどで収益を挙げている。創始者のニッシム氏は既にこのサイトの運営だけで生計をたてている。











