− 第5回 −
コミュニティサイトはビジネスとなりうるのか
従来のコミュニティサイトは収益確保のモデルを構築できなかった

インターネット創世期以来「オンライン・ショップ」は、ネット上での代表的なビジネスモデルであった。2000年の年末あたりから始まったネットバブルの崩壊以後も、所謂「クリック&モルタル」と呼ばれる企業群の台頭があり、現在も様々な種類のオンラインショッピングが一般消費者の利用によって成り立っている(注1)。
一方、インターネットの主要なコンテンツがショッピングだけであるはずはもちろんない。どちらかと言えば物販をはじめとする目に見えるビジネスは全体の中では少数派に属し、実際にインターネット上で人気を集めるコンテンツとしては、趣味やスポーツなど、ありとあらゆる分野におけるコミュニティサイトであったことはよく知られている通りだ。
しかし、それらのサイト群は長らく収益確保の手段を構築できなかった。人気サイトとなった後でなら広告掲載という手段は考えられるが、近年ではアフィリエイトという手法が主流となったことやオンライン広告代理店の出現などで、リンクバナーの掲載だけでは利益を生まず、具体的な販売実績が伴わない限り利益が発生しない仕組みが一般的である。
一方、一般企業はきめ細かいマーケティングを展開している
しかし、一般社会に目を移してみればこのような考え方や手法がいささか前時代的であることは言うまでもない。現代の商取引とそれらを取り巻く各種サポートビジネスの多様化は驚くほどであり、そこにはマーケティングが存在する。無数に枝分かれした各分野の専門企業が存在し、市場でのビジネスを手助けしている。アンケートに始まり試供品の提供など、現在の企業はありとあらゆるマーケティング手法を駆使して成功を求めており、そしてもちろんそれらマーケティング行為全てが個別に利益を上げているわけではない。
いまや「マーケティング」という言葉に含まれる概念や手法は現在では非常に広範囲に渡っており、それぞれで独立したビジネス活動が行われている。
ネット上できめ細かなマーケティングが主流にならなかった理由
しかしこれまでインターネット上ではこのようなきめ細かいマーケティングが主流となることは少なかった。これにはいくつかの理由があるが、まず第一に挙げられるのは、インターネットの利用者がまだ少数派だった時代では、収集した情報が実際には特殊な範疇でしか活用できなかったり、ネット経由のユーザー層が一般の分布とはいささか乖離したものであったことだろう。

また、これまで一般社会の大手企業にとって、インターネットはあくまで販売拠点の一環に過ぎなかったこともある。「オンラインショップ」を開設し、そしてそこから購入する層がどのような人々なのかを探るというレベルでのマーケティングは行ってきたものの、インターネットからの情報をそのまま本来のビジネスの中枢には据えていなかった。
そして経営面から見たときに何より大きな要因と考えられるのは、これまでインターネットの世界を引っ張ってきたのがやはりIT技術分野の人々であったということだ。一般の大企業のビジネスでの手法を理解しそれを駆使する人材や機会が少なかったため、ビジネス上での戦略等といった概念が希薄であったことなどが挙げられると思う。
それはこれまで人気であった各種のコミュニティサイトでも同様だ。かつてこられのサイトは「(技術的分野にも明るい)ある趣味の分野の専門家」という人々が始めたケースが多かった。趣味が高じてそのあげくに自身でサイトを開設、それがいつしか人気となり広告掲載によりお小遣い稼ぎに成功。このようなケースが大半だろう。
しかしインターネット初期に成功したビジネスの代表例であるeBayは、創業者がかなり早期にその経営に外部の専門家を招聘し、自身は実質的な経営には荷担していない。卓見と言わざるを得ないが、しかし一般社会であればどんな企業もその経営陣には各分野のエキスパートを置くのは当たり前。ビジネスアイディアを持っていたからといって経営に向いているかどうかは全く別の問題であろう。ネット内でのビジネスは未だに起業家がそのまま経営者であることが多く、これがまた一般社会のような高度な経営を実践できない理由となっている。
高度なビジネス手法のネット上での展開が始まる
しかし、技術面の進歩とインターネットの普及によって、ネット上でも各種のマーケティング手法が構築されるようになってきた。様々な分野のエキスパートがネットを利用することにより、高度なビジネス手法がネット内でも一般的になってきている。その結果人気のあるコミュニティサイトが実は有効なマーケティング手段として活用されるケースが増えてきており、一般社会同様に一見収益確保が不可能なのではないかと思えるようなサイトでも、実はきちんとした利益構造を確立していることも多い。
今回は最近気になるいくつかのサイトを例に取り、これらがどのような形で収益を上げているのかを探り、今後のインターネットサイトの収益構造確立の行方を探ってみたい。何も難解な手法である必要は無いだろう。広告バナーの貼り付け以外にも収益の方法があることを知るだけでも、今後のビジネスの何らかのヒントになるのではないだろうか。
注1)所謂B2Bなどのビジネスサイトも数多くあったが、それらは一般のネットユーザーがアクセスするようなものではなかったし、またポータルサイトという概念も、コンテンツが増えてきたことにより生まれてきたものであり、やはり最初は同好の士(それが学術的分野であったりしても)を集めているサイトが人気サイトと呼ばれていたのは間違いない。










