− 第4回 −
付帯サービスの充実は業界の成熟度のバロメーター
インターネットの世界だからこそ地元で商売を
最後にご紹介するのはeBayショップと呼ばれるお店である。今ではあちこちに見られるこのお店、eBayで販売されたものを発送する際の梱包資材や箱類などを販売すると共に、宅配業者への受け渡しやその手続きの代行などを行ってくれるお店である。また商品の購入側となった場合でも、留守がちな人へ受け取り代行のサービスをしたり、宅配業者からの一時保管などもやってくれるものである。
eBayショップの外観
ところでこのeBayショップという名前だが、これはあくまで通称であって正式名称ではない。なぜなら、これらの店舗は例えば雑貨屋であったり文房具店であったり、またはカフェやデリ(注4)などが兼業していることがほとんどで、何よりチェーン店でもなければ同一企業による経営でもない。既に何かの店をやっているおじさんやおばさんが付帯サービスとして併営することがほとんどで、どちらかというと地元密着の草の根サービスである。大手チェーンによる全国区のサービスという大仰なものではない。そしてこのビジネスも、インターネット関連といえなくはないものの、Auction Drop同様、IT分野の専門知識などは特に必要とはしないビジネスだ。
日本でならコンビニあたりが全国チェーンでやってくれそうなサービスだが、しかしその場合は面倒な契約も必要となろうし、何よりそもそもコンビニなど一括して提携できる何らかの業務を営んでいなければならないだろう。何事もきちんと対応することを是とする日本ならではと言えるのだが、しかしこちらでのeBayショップの大半は個人経営。しかも先に述べたように本業の片手間が大半という気楽なスタンスだ。従ってそのサービス内容もショップごとにばらばらだし、在庫している梱包資材などの商品も特に指定されているわけではない。
しかし改めて考えるまでもなく、この種のサービスに需要があることは想像にたやすい。それと同時に、宅配便の業者などでなければ、この種のサービスを一括して代行するのは、その業務内容から無数の拠点と人材を必要とし、サービス用のマニュアルや対応などソフト/ハード面からの投資も多大となる。eBayショップのように各個人の判断で対応できるケースだけにとどめておけば、トラブルも少なくなるし各ショップの地元での営業だけなら、早朝や深夜の対応など柔軟な対応も可能だ。フランチャイズフィーなどの出費がなければ経営も健全となり、起業に興味を持つ経営者も多くなるだろうし、規模が小さくても実現が可能となる。実際eBay自身もこの種のサービスを肯定しており、店舗でのロゴの使用やeBayショップ経営者からの各種の質問などにも丁寧に対応をしている。
さて、今回三種類の「シャベルを売る」サービスビジネスをご紹介したのだが、読者の皆様はどのようにお感じになっただろうか。
今回ご紹介したのはeBayに付随するビジネスであるが、このほかにももちろん同種のビジネスモデルは数多く見られる。
各種情報サービス提供サイトのCraigslist とYahoo! の地域情報サービス、Localを組み合わせたPipes。メディア大手のバイアコムが提供している、簡単に個人のデモビデオを作れるVideo Mixer(注5)など、様々な分野に及んでいる。
現在はAPIによるマッシュアップ方式も普及し、Programmableweb などでは、数多くの付帯サービスビジネスが紹介されており、Google Mapに付随する各種のマッシュアップなどは、その多くがまだ利益を生み出すほどではないものの、新たなビジネスモデルを模索していることは良く知られている(注6)。
現在ともすれば何をするにしても大上段に構えてしまうのは日本人の良いところでもあり悪いところでもあろうかと思うが、しかしちょっとした着目点やビジネスに対するスタンスの変更次第で、新しいビジネスのネタがあちこちに転がっているのはインターネットの世界でも同じだ。特に起業を目指す若者は、この種のビジネスモデルを検討してみるのも面白いのではないだろうか。
注4) 総菜屋のようなもの。
注5) 個人でビデオクリップを簡単に作成できることから、素材を集めるためや制作の参考にするために有償/無償の動画サイトへのアクセスも増加するであろうと見込まれている。
注6) 同サイトによれば、eBay系の関連サービスだけでも 20社以上。マップ関連の付帯サービスに至っては既に1000社以上が市場に参入しているという。
(2007年10月29日公開)











