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ニューヨークITトレンド

− 第3回 −

過去の失敗から成功を引き出す

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 同社の破綻を招いたとされるのは、急激な出店に伴う深刻な資金不足だ。拡大路線を目指した2000年末の段階で同社従業員数は2,000名以上。しかしニューヨークの本社には150名弱と、都市部以外での経費支出が重くのしかかっていたことは明白だ。独立経営による拡大路線の戦略維持が困難になってからは、同業他社のライバルでもありやはり経営不振に陥っていたUrban Fetch(アーバンフェチ/UrbanFetch.com-既にサイトは閉鎖)を買収し規模拡大の継続を図ったが、結局その直後に自身も事業を停止した(注3)

 ここに一つ典型的な失敗事例を見ることができる。それはこの時期のベンチャーの多くが急激な拡大路線を取ることによって結果自身の破綻を招いたという点である。そしてその意向は彼ら自身からではなく、外部の出資屋の意向であったケースが多かった。事実、ITバブルの頃の投資家達は、出資金(とそれを大幅に上回る利益も)の早期回収を望むようになってきており、新興企業をじっくり成長させようとしていたかつての出資者達とはずいぶんと様変わりをしていた。

 新進企業を急成長させるための秘策の一つとして出資者達が取り憑かれている信念として、
「その初期には赤字を生んでも、とにかく早期の市場席巻を行うべし」
というのがある。この手法こそがライバル社を蹴落とし、消費者を独占し、結果として莫大な利益を生むのだという考え方だ。この手法は当時の出資者とその関係者の間では共通の概念であった。拡大路線の上で成功を手にしたAmazonは、やはり長らく赤字経営が続いていた。それでもなんとか市場での知名度とシェアを得るまで持ちこたえたわけだ、しかしkozmoに限らず、多くの第一世代のネットビジネス企業は拡大路線が仇となり消え去っている(注4)

 この手法を成り立たせるためには、市場が成熟し、ライバル他社が消え去るまで自身が生き残るだけの莫大な資金が必要であるのは言うまでもない。だが未だに出資者達が強く傾倒する手法であり、それはITバブルに沸く当時であればなおさらであったろう。当然kozmoもその考えに乗っ取り、全米各地へその拠点を増やしていった。配達用のトラックや従業員の確保。増え続ける広告宣伝費とともに、シェア確保のために利益を確保できないような少額の売り上げにも対応したあげく、2001年の4月に事業を停止。創業は1997年4月であったから、ちょうど4年の短い企業生命だったわけだ。


注3)WebvanやHomeGrocer.comといった同業もやはり事業を停止している。同社は1996年創業、1999年事業開始、2001年破綻。

注4)eToysはToysourasなどのライバルとの市場争いにうち勝つべく、巨大な流通施設や配送関連の人員増強に注力した結果やはり資金が枯渇して倒産した。その他にも、Razorfish、Double Click、Music Boulevard、i-Village、Pricelineといったところが、一度は非常に注目を集め成功を期待されたにもかかわらず、結果として倒産/事業停止/他社による買収などの結果となっている。


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