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ニューヨークITトレンド

− 第1回 −

今後の米国IT界をシリコンアレーから占う

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IPOより買収?〜起業家の夢

 2002年の秋頃にはシリコンアレーという言葉は過去のものとして見なされつつあり、多くのITベンチャー企業とその起業家は一瞬の栄華を懐かしむばかりとなっていた。ニューヨーク市自体もテロ後の復興と景気対策に追われ、ITベンチャー関連で働いていた多くの人々が新たな職探しを強いられ、そして徒労に終わる日々でもあった。

 しかし2002年以降も生き残ったITベンチャーもあった。そして彼らは3年ほど前から別な形で注目を集めるようになってくる。2005年の春先のこと。大手新聞社のニューヨークタイムス社がインターネット上で質疑応答のサービスを行っているAbout.com社を買収したのだ。大手による大型買収と言うことと、久しぶりに見るシリコンアレー発の話題は、かつての起業家達へ新たな希望をもたらした。自身のビジネスそのもので大成功を収めなくても、企業買収という違う形で富を手にすることができるという夢である。

 テロ後の景気停滞感も払拭されつつある時期であり、各種インフラもかつてとは比べものにならないほど充実している。大手企業から見れば、ゼロから何かを始めるよりは、既に出来上がっているものを買ってしまった方が手っ取り早いと考えるのは理にかなったもの。そして相前後してシリコンアレーの生き残りを買収するというのが一種のブームとなって行ったのである。

 特にシリコンアレーの企業群は、ITバブル崩壊後も何とか生き残ったものの、しかし西海岸の成功事例ほどの規模ではないことから格安で買収することが出来ると言うことでも大手の関心を集めることとなった。先のニューヨークタイムス社や、同じくメディア大手のNBCやNews、そしてAOLなどがこぞってかつてのITバブル期のベンチャーの生き残り(注1)を買収しはじめたことでこの傾向に拍車がかかり、日本を含めた海外からの資金流入もあってあっという間に買収ブームが巻き起こったのだ。

 その買収金額も個々の金額は大きくてもせいぜい500-700億円程度であったが、総額では4000億円ほどになったと言われており、現在でも伸びを示し続けている。そしてGoogleやマイクロソフトをはじめとするIT分野の大手だけではなく、一般ビジネスの大手達もこぞって新しい買収先を探し回っているはずだ。全米全体でもこの買収傾向が見て取れる。起業家側も、もちろん建前ではIPO(株式公開)が当面の目標であるとはコメントするものの、手っ取り早く大金持ちになることが起業の目的であるなら、買収であっても結果は同様と考えるものが多いのも事実だ。


注1)About.comを始め女性専用サイトのはしりiVillageや、オンラインカラオケサイトの、kSolo.com。更に現在のブログブームの発端になったともいえるWeblogsinc.com等と言ったところが大手メディア企業に買収された


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