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汗と涙と“ネットワーク”どこで差がつく成長曲線

最終回

ネットワーク活用が差を付けた2社の未来

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 これまで5回に渡り、ボックスホビー社、スタートイ社のネットワーク活用に大きな隔たりがあることを紹介してきました。果たして、この差は数年後には、どのような結果を生んだのでしょうか。最終回となる今回は、未来の両社を見てみましょう。

ボックスホビー 株式会社

株式会社 スタートイ

Scene1「海外進出」

ボックスホビー 株式会社

 「おやすみラビット」のヒットから数年、従業員規模、売上げ規模とも3倍以上に成長したボックスホビー社は、とうとう海外進出への取り組みを開始したようです。おやすみラビットヒットの機運を逃さず、全社をあげて販売活動に取り組んだ結果が大きく実を結んだのです。

 その背景には、広間社長の言う通りネットワークの存在がありました。

 時間と場所の制限なく、あらゆるコミュニケーション端末を駆使して、素早く各担当者とのコミュニケーションを確保する。各拠点を接続する全社ネットワークで常に現状を把握し、決定事項を的確に伝達。また、営業・製造の現場でも、顧客からの依頼や注文にもリアルタイムに対応し、さらには、災害などのリスクからビジネスを守る。同社は、ネットワークをあらゆる場面に活用することで、これらのことを実現してきたのです。

 そして、こうした考え方は、米国法人の立ち上げにも反映されています。設立準備中にも、緊密なコミュニケーションが取れるよう、すでに最低限のネットワーク環境を整備。また、今後これまで以上に広いエリアにビジネスを提供し、高いサービスレベルを維持するには、より強力なネットワーク基盤が必要になりますが、それも計画中です。

 例えば、営業担当者が外出時に社内システムにアクセスし、メールやスケジュールの確認のために利用しているリモートアクセスシステムは、今後は海外出張時にも利用できるよう更新する予定。また、役員達の意思決定のための材料として、国内外からの情報を集約する必要があるといったことを想定し、グローバルな全社ネットワークの構築にも余念がありません。

 加えて、アジア方面での工場設立も検討中とのこと。新設される工場では、あらゆる機器をネットワークで接続し、その運行状況を一元管理。位置センサー、電力量センサー、熱センサーなどとネットワークを併用することで、異常が発生した場合にも、管理者が携帯する端末に自動通知すると同時に、現場のWebカメラを起動し、詳細の把握を可能にするなど、これまで以上に高度なネットワークの活用も視野に入れています。

株式会社 スタートイ

 一時期、人気面ではボックスホビー社の「おやすみラビット」と互角の争いをしていたスタートイ社の「インスタント・マッスル・ヨーヨー」ですが、様々なアクシデント、いや、人災により製造が追いつかないなどの事態が相次ぎ、そのブームは急速にしぼんでしまいました。原因は1つではありませんが、ボックスホビー社の成功を見てしまった後では、やはり大きな要因の1つにIT、そしてネットワークの活用に後れを取ったことが挙げられます。その結果、見ての通り両社の間には、これほどに大きな差が開いてしまいました。

 こうした事態を解決すべく、立ち上がったのが、星壁社長の息子である誠氏。つまり順調にいけば、次期の経営を担う人物です。

 とにかく、ITと呼べるものはPCとインターネット環境くらいしかそろっていない同社ですから、やることは山ほどあります。そこで誠氏は、まず全てのITシステムの基盤となるネットワークを整備することから開始するようです。

 また、こうした改革を行う際には、反発はつきもの。ですから、誠氏は、星壁社長に全権を要求しました。そんな彼が片腕に選んだのが、VOL.5で紹介した木杉氏。当時、同社の状況に危機を抱いていた彼は、何度か役員に意見書を提出していたのです。

 IT活用の面から見れば、やっとスタートラインに立った同社。少なくともヒット商品を生み出した製品開発力はあるわけですから、ITやネットワーク活用して業務の効率化やビジネススピード向上を実現してもらい、今後の成長に期待しましょう。

Scene1「海外進出」

まとめ

 今日、市場には海外の企業が提供する製品やサービスが多く存在していることからも分かるように、ビジネスはグローバル化しています。激化する競争を勝ち抜くカギを握ると言われているのが「スピード」です。市場に何らかの変化があった場合には、それを素早くキャッチし、リアルタイム対応することが企業には求められているのです。そして、そのために欠かせないのが、ネットワークです。

 この記事のVOL.1〜5でボックスホビー社が実践していたのも、まさにこのこと。ネットワークを張り巡らし、些細な変化も見逃さない。ネットワークを通じて自社の状態を常に正確に把握し、いざという時に備える。さらには、最適なコミュニケーション環境によって、全社の意思統一を図るなど、ネットワークがビジネスにもたらす効果は計り知れません。

 企業ネットワークを構築するためのソリューションは、以前からありましたが、今日では、技術の進化により、より安価に、より広域かつ安全なネットワークが構築できるようになりました。

 ネットワーク機器に搭載される機能も高度化し、自動で最適なルートを検索し、ネットワークの遅延を防止するものなど、様々なものがあります。ボックスホビー社の用に、これらを適材適所に活かし、自社のビジネスに最適なネットワークを構築することが、競争力強化の一助となるでしょう。

 一方で、ネットワークを活用する際には、その安全性や信頼性にも注意を払わなければなりません。VOL.5で紹介したように、ITやネットワークを活用することは、ビジネスに多くのメリットをもたらしますが、依存度が高まれば高まるほど、システムがストップしてしまった際の被害は甚大なものとなります。つまり、事業を継続するためには、ITシステムやネットワークそのものをより堅牢に保つ必要があるのです。

 また、ネットワークのセキュリティが重要となる背景には、企業の社会的な責任が強く問われるようになったことも挙げられます。ビジネスにネットワークを活用する場合、ネットワーク上を様々な情報が行きかうことになります。また、そのネットワークが接続された、社内システムにも多くの重要な情報が保管されています。これらが、第三者に洩れてしまった場合、それがビジネスにどんな影響を与えてしまうかは、容易に想像がつくでしょう。自社の信頼は大きく失墜し、市場から除外されてしまうことは多くの情報漏えい事件が証明しています。こうしたセキュリティに無頓着だったスタートイ社が無事だったのは、単に運がよかっただけとも言えるのです。

 さらに今日、ネットワークの分野で大きな話題となっているのがNGN(次世代ネットワーク)です。通信事業者が中心となり、全てのネットワークをIPネットワーク上に統合。これにより、社会、企業、個人が、より強固に結びつき、異業種間のコラボレーションが活性化するなど、企業はこれまでになかったサービスが提供できるようになると言われています。こうした機運に乗り遅れず、対応可能な環境を自社内に構築しておくことも、これからの企業には重要になるでしょう。

 このように、現在、ネットワークは、もはやビジネスとは切っても切り離せない存在となっています。スタートイ社の過ちを繰り返さず、ボックスホビー社のような成長力を身につけるためにも、自社のネットワーク活用をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

まとめ

(2007年2月13日公開)


詳細情報

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